最近はまっている 垣谷 美雨さん

「ニュータウンは黄昏れて」

 郊外の集団公団住宅をローンで買って後悔している主婦と、その娘のちょっと怖い恋愛模様の話。元合唱部の3人のなかで廻っていくお金持ちの男子とそれぞれの考え方の違いが面白い。

 

「ifイフサヨナラが言えない理由」垣谷 美雨

 人の気持ちが分からない女医さんが、その人の心の中や、過去をやり直せたりする聴診器を拾ったことから起こる、患者さんの後悔を辿る話。

 

「孤蝶の城」桜木 紫乃

 カルーセル麻紀の半生を描いた小説。「緋の河」の続完結編。

壮絶としか言いようのない人生だけど、根本には「私は私」という何物でもない唯一の自分を生きるということなんだなと思う。それは誰の人生であっても同じだと。

 

「犬心いぬごころ」伊藤 比呂美

 直球の、犬と父と夫の老いと介護の話。老いの悲しみ、哀れさ、切なさが作者の直截的な言葉で描かれる。うーん、身に沁みる。