山と本、ときたまコーギー

山と本、ときたまコーギー

登った山の記録や好きな本の読書感想、時折犬に関して、その他日常の記録帳



久しぶりに寄ってみようかな〜と思い立ち訪れた地区センターの図書コーナー。これに目が留まりました。2024年の芥川賞受賞作。当時、山岳小説ラブラブラブ読んでみたい!と思ったものの、調べたら舞台は六甲山。なんだ低山じゃん…北アルプスとかじゃないのかぁなんて思って(なんて傲慢な汗うさぎ)それきり忘れていました。



結果、すっっごい面白かった!

山岳小説なんだけど、テーマは山じゃない。なんだけど、舞台が山なので山あるあるが書かれてて苦笑。山頂で食べるカップ麺に憧れるとか、回数を重ねるうちに海外ブランドの山ウェアが増えていく…とかねニヤニヤ


私も、これを書いてる今も、上下パタゴニア♡山ウェアは機能性が高いし動きやすいというのもあるけど、それならモンベルでもワークマンでもいいわけで。

私の場合、DCブランドが流行った若い頃にそれを買えなかったことを、今山服でリベンジしているような気もする…滝汗



◎ストーリー

主人公の波多は、かつてのリストラの経験から、会社での人間関係を築くために登山部に所属して六甲山系の山に登ることになった。



憧れの「山で食べるカップ麺」を味わい、仲間と記念撮影し、お菓子を分け合う。登山アプリに登録してフォローした人のログを見る。登山店を頻繁に訪れて、マムートやミレーなどの海外ブランドのウェアを揃えていく…妻に「また買ったの?」と笑われるくらい。



ある時、会社のベテラン社員の妻鹿さんがこの登山部に参加することになった。途中で合流するとのことで、待ち合わせ場所で待っていると、、、登山道ではないところから、異様な出立ちで現れる彼。

ホムセンで買ったようなヤッケ。下は仕事で支給されてる作業着のズボン。脚半を付けて靴は地下足袋驚き驚き驚き



そして、彼の先導で歩いたのは道無き道。バリエーションルートだった。。。



身に付けてる服、持ってる道具、歩くルート。全てが自分とは全く違う妻鹿さん。バリルートを歩くことに批判する部員もいたが、興味を持った波多は、妻鹿さんにお願いしてバリ山行に同行させてもらうことにした。



またリストラされないように、社内での立場を固めようと始めた登山。最初は新鮮だったけど、回数を重ねるうちに、オフィスが山へと場所を変えただけに感じる。生活の不安は解決しない。気分転換しただけで、街へ戻ればまた元通り。

そんな思いから、ついて行ったバリ山行だが、これでもかというくらいの藪漕ぎや、木の枝や蔓が絡まる難路に、次第に怒りが湧き、その矛先は妻鹿さんに向けられて、、、。辛い時に怒りが湧いて同行者にぶつけたくなるの、私もある、、、そんな自分になるのが嫌だから一人で行くというのもある。



山での描写に、そうそう、それなのよ!と共感の嵐が吹く私。そして、山でいくら楽しもうが下山すればいつもの日常の不安や不満があるというのも同じ。この話、この先どうなるのぉぉぉ!!と先を急ぎたい気持ちと読み進めて終わってしまうのが怖い気持ち。



それでね、、、自分が感じたこの小説の結末は、決められたルートや一般的な楽しみ方ではなく、自分だけの楽しみ方を見つけてそれを自分が認めることが出来た時、内面に変化が起こってそれが現実の感じ方にも波及するのだ、ということ。



私もさ、、、カメラは買ったけど、芯から楽しめてはいなかった。それが松本茜さんの写真を見たのをキッカケに、ピンぼけとか露出過多とかの、してはいけないと思っていた思い込みに穴があいた。なんでもやりたい放題で良いし、撮りたいものを撮りたいように撮れば良いと思えるようになって、楽しくなってきた。そして自分なりの楽しみが見つかったことで、日常の不安への耐性が少し強まった気がする。心の拠り所が出来たということなのかな。



最近ブログへのアウトプットが増えたのも、そんな影響かもしれないと思う。うん。