「絶望です」避難所でついに死亡者も 弁当は1日1食のみ、住民の直訴を市長が遮り…能登半島震災から約7カ月、現地が明かす行政の怠慢 2024/08/03
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「絶望です」避難所でついに死亡者も 弁当は1日1食のみ、住民の直訴を市長が遮り…能登半島震災から約7カ月、現地が明かす行政の怠慢© SmartFLASH
震災直後の避難所
「エコノミー症候群で亡くなった高齢者もいます。どれだけ訴えても、私たちの声が届くどころか、蓋をされてしまっています」
2024年の元旦、最大震度7を記録した大震災が発生した能登半島。死者は災害関連死と合わせ、300人を超えている。
「岸田文雄首相は5月31日、『復興基金』を通じ、石川県に520億円の財政支援をおこなうことを決めました。さらに、『能登半島地震被災地支援宝くじ』の収益分約40億円の半分が県の予算に充てられるなど、早期復興に尽力しているとアピールしています」(政治部記者)
震災の発生から約8カ月。本誌の取材で明らかになったのは“早期復興”とは程遠い現状であったーー。
能登半島内でも、被害が大きかった珠洲市で被災した40代男性は、肩を落としながら現状を語る。
「珠洲市では、在宅の方はいまだに水道も通っていないお宅が大半です。中には電気すら通っていないお宅もあります。私の自宅も両方通せておらず、家で過ごすのが危険なほど暑い日や、炊き出しのボランティアをするときは、避難所に泊まる日もあります。
避難所に設置されたダンボールで仕切られた空間に、ダンボールで作られた即席ベッドがありますが、枕の感覚は全くなく、畳で寝た方が柔らかいレベルです。たった数日でも辛くて涙が出そうになります」
とっくに限界を迎えている、過酷な環境で半年以上過ごす被災者。ついには、命を落とす者もいたという。冒頭の続きを話す。
「ついに、エコノミー症候群が原因で、避難所で死人が出ました。そして、最近もエコノミー症候群と診断された後期高齢女性がいまして、すぐに仮設住宅に入りたかったのですが、その方は子どもと共に生活しており、仮設住宅は4畳半の広さの部屋しか残っておらず、家族で4畳半に住むのは物理的に無理があるので、悩んだ末、母親のみが仮設住宅に入りました。
問題なのは、仮設住宅への申請というのは、1世帯1回限りということです。仮に広い仮設住宅が空いたとしても、もうその家庭は申請する権利を失っているので入ることができない。残された家族は、“全壊判定”を受けた自宅で今も生活しています。
行政には、申請制度の変更を検討して欲しいのですが、彼らがやっているのは、有名な建築家を連れてきて、仮設住宅建設プロジェクトを立ち上げること。完成について、簡単に『1カ月、2カ月伸ばします』と言いますが、仮設住宅を待つ側からすると絶望ですよ。じつは、家族バラバラになったその高齢女性も、一家で住める仮設住宅の入居が遅れてしまっていたんです。“復興アピール”にしか見えません」
さらに、健康を脅かしているのが食生活だ。内閣府によると、石川県の現在の避難所数は191箇所、2000人以上が避難所での生活を余儀なくされている。(7月1日時点)
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「現在、珠洲市健康増進センターというところから食料が配布されるのですが、1日1食の弁当のみです。1食である理由のひとつは、“食中毒の問題がある”ことだといいます。しかし、“食中毒”という理由にしては、マヨネーズを使用したコールスローや、生野菜が使用されており、配達は保冷車ではないところを見ると、じゅうぶんな配慮がなされているとは思えないです。
行政からは、未炊飯の米しか届かず、この状況を知った民間の方が食材を支援してくださり、被災者同士が無休で数十名分の炊き出しをおこなっている状態です」
さらに、配給されるお弁当は原則として、避難所限定だと言う。
「自宅で生活していても、センターに連絡をすれば貰えますが、整備されていない道を車で片道30分以上かけて、15時〜18時と決められた時間に行くのは困難です。
復興のためには、経済を回せと言う方もいらっしゃいます。しかし、食材を買おうにも、残っているのは全壊したスーパーだけで、おにぎりひとつ買えません。仮に、食材を手に入れても、炊き出し用に駐輪所を改良してつくったガスコンロのみの調理場があるだけ。約40人が生活している避難所では、個々に調理できる環境じゃないんです」
男性は、「国が支援してくれない訳ではない。ただ、こちらの要望が届いていない」と語る。
「要望があれば国も対策をしてくれると思うんです。しかし、避難所にいるのは高齢者が多く、情報発信できるものを持っていない。ですので、市や県に直接言っているのですが、我々の声に蓋をしていると感じます。
7月中旬、総務省の方が珠洲市の避難所の視察に来たので、精神的に限界であった80代の男性が、仮設住宅問題について直訴しようとしたところ、会議室を用意してくれたのですが、同行していた珠洲市市長が話を遮ったのです。『市長と話をしたいんじゃない!』と住民は悲しんでいました」
そして最後に、男性はポツリとこう語った。
「震災から半年以上過ぎても、80代のおばあちゃんが、ダンボールの上でカップ麺や昨日の残りの弁当を食べているのを見るのは、同じ被災者としても心が痛みます……」
“忘れられた被災地”では、今なお多くの人が苦しんでいるーー。
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