定額減税について改めておさらいしてみましょう

2024/06/21

会社で給与収入が上がっても、それに伴い所得税や住民税などの税金も上がるため、手取りの収入はなかなか増えないと感じたことはありませんか。2024年6月1日から、所得税と住民税が一定額まで下げられる「定額減税」という制度が始まりました。この制度を利用することで、給与所得者は給与から引かれる税金が減り、その分手取り分が増えるようになります。ただし、働き方や家族構成で実施方法や、減税額が違うので注意が必要です。今回は「定額減税」について、主に会社で勤めて給料を貰っている「給与所得者」のメリットや注意点を解説していきます。

定額減税とは?

「定額減税」とは、所得に関わる税金が減税される制度です。特徴としては、控除対象者1人につき、一定額が所得税(30,000円)と住民税(10,000円)が特別控除されます。

昨今の急速な物価高騰に伴う家計の負担を軽減するために、一時的な措置として実施することが決定されました。

2024年6月から制度が始まり、国内に住所があり、2024年の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は給与収入が2,000万円以下)の方であれば手続き不要で減税を受けることができます。

減税方法

給与所得者の場合、定額減税は「所得税」と「住民税」で実施方法が異なるので注意が必要です。

まずは「所得税」の減税方法から見ていきましょう。

○所得税

まず「定額減税」の対象となるのは令和6年(2024年度)の所得税です。

定額減税額は下記の通りとなります。

(1)本人(日本居住者)30,000円

(2)同一生計配偶者または扶養親族1人につき30,000円

同一生計配偶者は年間の合計所得金額が48万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が103万円以下)の人が対象です。例として、本人と配偶者、子1人の場合、合計12万円の減税となります。

給与所得者は、勤めている会社の給与支払い担当者が手続きを行ってくれます。支払い担当者は、給与支払い時に「月次減税事務」を行い、扶養親族の人数を合わせて確認します。そして年末調整時に「年調調整事務」を実施します。

年末調整で課税所得税額から、住宅ローン控除などの税額控除を差し引いて年調所得税額を最終的に決定します。

○住民税

次に住民税の減税方法です。

まず、給与所得者は令和6年(2024年度)6月分の住民税は徴収されません。そして定額減税による控除分を差し引いた税額が、2024年7月から2025年5月までの11ヶ月間で毎月均等に分割されて減税されます。

住民税は申告納税方式による所得税とは異なり、お住まいの市区町村により都道府県民税を含めて税額を計算して徴収するという賦課課税方式が採用されています。

給与所得者は特別徴収額通知書に記載された住民税の税額が徴収されます。

住宅ローン控除やふるさと納税の影響は?

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住宅ローン控除や、ふるさと納税には影響しません。定額減税では、住宅ローン控除後の金額から減税され、定額減税の控除を行う前の所得税額から住宅ローン控除の控除額を差し引いたあとに定額減税の控除額を控除することとなっています。

よって、住宅ローン控除額が減ってしまうということはありません。ふるさと納税の場合も、定額減税前の所得割で算出されるため、ふるさと納税の控除額が上限額が減るという心配はないので安心してください。

まとめ

定額減税は、長く続く物価高に伴う家計の圧迫や、政府がデフレ脱却の為に実施する経済政策です。

今回主に解説した「給与所得者」だけでなく、パートやアルバイト、個人事業主で収入を得ている方も対象となります。

2024年6月2日以降に別の会社へ転職した場合でも、給与から所得税の定額減税は行われませんが、年末の調整時に控除が適用されるので安心してください。

また、定額減税の対象ではない住民税非課税世帯や、住民税均等割のみ課税世帯には給付金が支給されます。定額減税により手取り収入が一時的に増えることで、家計の負担が減り、節約や投資への余裕も生まれることが期待されています。ぜひ、令和6年6月からの給与明細や、年末の源泉徴収票を見て定額減税がきちんと行われているか確認してみてください。

○この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介

小峰一真(こみねかずま)

所属:マイホームFP株式会社

MILIZE みらいず AIとITと金融工学の力を駆使し、お金の計画・管理・運用まで完結できる次世代の金融ウェブサービスを手掛けている。個人の方向けには、専属FPにオンライン相談・メール相談ができるサービス『TAMARU』や、お金の情報について動画で分かりやすく解説する『MILIZEチャンネル(YouTube)』など、"金融商品を売らない"完全中立的な金融サービスを提供している。 この監修者の記事一覧はこちら

 

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