自民、今国会での改憲原案提出見送りへ…首相の総裁任期中はほぼ不可能に

2024/06/14

 自民党が、憲法改正に向けた改正原案の今国会提出を見送る見通しとなった。立憲民主党などが反対する中、強引に条文案作成を進めれば政治資金規正法改正案の審議に影響するとの懸念が強まったためだ。岸田首相が掲げてきた9月までの自民総裁任期内の改憲はほぼ不可能となった。

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衆院憲法審査会に臨む(右から)自民党の中谷元・与党筆頭幹事、森英介会長、立憲民主党の逢坂誠二・野党筆頭幹事(13日午前、国会で)

衆院憲法審査会に臨む(右から)自民党の中谷元・与党筆頭幹事、森英介会長、立憲民主党の逢坂誠二・野党筆頭幹事(13日午前、国会で)© 読売新聞

 13日の衆院憲法審査会で、自民の中谷元・与党筆頭幹事は、大規模災害時などに国会議員の任期延長を可能にする緊急事態条項の「骨格」となる論点整理案を示し、「これをもとに条文化を進めたい」と改めて各党に協力を呼びかけた。

 論点整理は、大規模災害などで広い地域で70日を超えて選挙の実施が困難な場合、6か月を上限に「選挙困難事態」を認定し、国会議員任期を延長できるとする内容で、中谷氏は国会閉会後に閉会中審査を開くことも求めた。

 これに対し、立民の逢坂誠二・野党筆頭幹事は審査会後、記者団に「丁寧に議論する必要がある。条文化作業をすべき状況にない」と、閉会中審査に応じない姿勢を示した。

 衆院憲法審の定例日は毎週木曜で、23日までの会期内では20日が定例日にあたる。ただ、規正法改正案の成立が見込まれる19日以降は、立民による内閣不信任決議案の提出などで与野党の攻防激化が予想され、審査会が開けない可能性が高い。首相は、野党に政権批判の機会を与える会期延長には否定的で、今国会の審査会は13日が最終回となる公算が大きい。

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自民、今国会での改憲原案提出見送りへ…首相の総裁任期中はほぼ不可能に

自民、今国会での改憲原案提出見送りへ…首相の総裁任期中はほぼ不可能に© 読売新聞 提供

 9月までの改憲実現には、今国会での改正原案の提出が必須とされてきた。しかし、立民は、改憲論議とは無関係な「政治とカネ」の問題などを持ち出して条文案の作成に反発。国会最終盤でも「条文案を作成すれば規正法改正案の審議を止める」とけん制した。

 自民内では、公明党、日本維新の会、国民民主党など改憲に前向きな勢力だけで条文案を作成することや、国会議員(衆院は100人以上、参院は50人以上)が審査会を通さずに改正原案を提出することを模索する動きもあった。ただ、規正法改正を最優先課題に挙げる首相が最終的に強硬論を退けたとみられる。

 衆参の温度差を指摘する声もある。参院側では、与野党を問わず「衆院議員の任期延長は参院軽視につながる」との声が根強く、参院憲法審では条文案作成に向けた具体的な動きがほとんどなかったためだ。

 首相には、内閣支持率が低迷する中でも改憲に道筋をつけることで、総裁選や次期衆院選をにらんで保守層にアピールする狙いがあったが、思惑は外れた。自民幹部は「そもそも改憲は大きな政治的エネルギーを要する課題であり、今の岸田政権にそれだけの体力はない」と語った。

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自民党、憲法改正原案の提出見送る方針 今国会中は規正法改正案の審議優先

 

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