4万円減税の卑しい裏側 裏金政権の「天下の愚策」に国民の怒り(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/498.html 2024 年 6 月 01 日

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※2024年5月31日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

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紙面抜粋

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※2024年5月31日 日刊ゲンダイ2面

※文字起こし

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嘘つき!(C)日刊ゲンダイ

「苦労して準備を進めたが、0円と書かれた明細を見た国民は、どれだけのありがたみを感じるのか」

 いよいよ6月1日から始まる「定額減税」。「増税メガネ」と揶揄された岸田首相が政権浮揚策としてブチ上げた「天下の愚策」に、日本列島のあちらこちらから怨嗟の声が上がっている。冒頭は、政策効果に懐疑的な自治体現場の嘆き節だ。一方、中小企業の経営者はギリギリまで税務署の説明会に詰めかけ、経理担当者も「対応が追いつかない」と悲鳴を上げる。

 とにかく、今回の減税は、準備期間が短いうえ、仕組みが複雑なのだ。

 改めて説明すると、減税は1人当たり所得税3万円と住民税1万円。1年限りの措置で、年収2000万円以下の納税者と、その配偶者や扶養家族が対象。給与所得者の場合、6月1日以降に支給される給与や賞与(ボーナス)から源泉徴収する所得税を減税額の分だけ差し引く。世帯全員分の減税額を1回で差し引けない場合、翌月以降の給与や賞与に繰り越して差し引く。

 住民税については、6月分を一律で0円とし、7月から来年5月までの11カ月間で、本来の年間の納税額から1人当たり1万円を差し引いた金額を11等分して徴収する……とまあ、ここまでの説明でも話がややこしくて頭が混乱してくるのに、年間の納税額が少なく、減税分を全額差し引けない場合は、1万円単位の給付で補填するとか、実際の減税パターンは年収や家族構成によって変化する。企業は社員ごとに月々の減税額を管理しなければならず、あまりに煩雑すぎて、「いい加減にしてくれ」と叫びたくなるだろう。

「岸田政権は今になって定額減税を物価高対策なんて言っていますが、元々、目的は選挙対策の政治利用。動機が不純なんです。そのうえ、やり方は最悪。まとめてドンと給付するならまだしも、給与からちょこちょこと減額では、減税の実感が湧かないまま終わるのが関の山でしょう。民間企業の経理の現場に迷惑をかけ、当初の目的だった政治的なポイントも上げられない。なんでこんなバカなことをするのかと思います」(経済評論家・斎藤満氏)

自画自賛の勘違い首相はやることなすことチグハグ

 やるにしても一律給付の方が簡単なのは明らかなのに、岸田が減税にこだわった。6月実施を急いだのは、「春闘での賃上げを受けたボーナス月で、手取りが増えた実感が増す」というもくろみだが、卑しい裏側は国民に見透かされている。生煮えの制度でこれだけ不満が出ていれば、何をか言わんやだ。

 ところが、自画自賛の勘違い首相は、この天下の愚策を「俺の施し」とばかりにPRし、恩着せがましい。手取りが増えた実感を“見える化”するため、給与明細に所得税の減税額の明記を義務付けるというのだから狂っている。ただでさえ減税準備で負担増の企業現場に余計な仕事を増やすばかり。そのくせ、対応が追いつかず、6月の給与に減税を反映できなければ、「労働基準法に違反し得る」(林官房長官)と“脅す”のだから悪辣だ。

 しかし、たった1回こっきりの定額減税で年間4万円は、月額にすれば3000円ポッキリだ。24カ月連続の実質賃金マイナスという超がつく円安物価高に襲われている日本の家計にとって、こんな程度で足しになるのか。

 2人以上世帯における家計負担増は今年度、平均10万5506円に上る(みずほリサーチ&テクノロジーズの試算)。昨年も10万円弱の負担増だったから2年で20万円も出費が増えているわけで、4万円なんて雀の涙だ。そのうえ、日米金利差で円安も歯止めがかからないから、この先も物価高は続く。

 それに、実質賃金は税引き前の給与総額から算出するため、定額減税でも実質賃金が増えるわけではない。むしろ、6月使用分から電気・ガス代の補助がゼロになり、標準家庭で392円値上げなので、家計の苦しさは増す。

 一体、岸田政権は国民を物価高から救いたいのか、逆に痛めつけたいのか。減税しながら、その一方で電気・ガス代の補助終了。この先、少子化対策の支援金も待っている。やることなすことチグハグすぎて国民を愚弄している。今回の定額減税により、「経済の好循環」「デフレマインド脱却で個人消費回復」などと叫ばれても、国民は「ハア?」だろう。

「『恒常所得仮説』という考え方があって、持続的に収入が増えるならば消費に回るが、1回こっきりでは貯蓄に回る。これは経済学の常識です。それに、一括給付なら『何を買おうか』と消費計画を立てられるが、減税では、いつどれぐらいの金額になるのか給与明細を見るまでわからないので計画を立てられない。そもそも、物価高の2年間で家計の金融資産は120兆円分目減りしました。定額減税の規模は約3兆3000億円。補填にもなりません」(斎藤満氏=前出)

裏金議員の二重脱税が国民感情を逆なで

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二重脱税実行、悪質過ぎる!(自民党の菅家一郎、稲田朋美両議員)/(C)日刊ゲンダイ

 そんな家計のやりくりに汲々とする国民感情を逆なでするのが、裏金議員の寄付金控除だ。自民党安倍派の裏金事件でパーティー収入のキックバックを受けていた議員らが、自らが代表を務める政党支部に寄付し、所得税の一部を還付されていた問題である。

 自民党の菅家一郎衆院議員(比例東北ブロック)は、裏金1289万円を原資にして、約148万円の税控除を受けていた。196万円の裏金をつくっていた稲田朋美衆院議員(福井1区)も202万円を寄付し、税控除を受けていたことを認めた。

 租税特別措置法では、個人が政党や政党支部などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれる。例えば、500万円を寄付した者は、約3割の150万円が納めた税金の中から戻ってくる仕組みだ。

 これは本来、個人寄付を促すための税制優遇制度である。それを政治家が悪用し、自分で自分の支部に寄付して還付を受け“錬金術”にしているのだからタチが悪い。菅家と稲田が「法令にのっとり申告した」と開き直っているのも醜悪だ。

 立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。

「稲田さんは『派閥からの裏金は寄付の原資になっていない』と弁明していましたが、お金に色はついていない。裏金が収入になっていたのは間違いなく、そんな言い訳は通用しません。右の財布から左の財布に移して寄付控除を受けた。裏金を雑所得として申告せず脱税し、さらにそれを使って税額控除で脱税。二重の脱税であり、悪質。本来なら逮捕されてもおかしくありません」

 もっとも、裏金議員以外も同様の脱法手口を使っていることが30日発覚。自民党の平井卓也広報本部長(衆院香川1区)と福岡資麿参院政策審議会長(佐賀選挙区)の2人が税優遇を受けていた。で、慌てて自民党は、こうした本来の趣旨に反した寄付金控除を見直すべしとの規定を、現在、大モメの政治資金規正法の改正案に盛り込んだのだが、以前から問題になっていたのになぜ放置していたのか。

 いやはや、盗人ばかりがいい思い。それでいて「政治にはカネがかかる」とぬかし、「政治資金は非課税だ」と“特権”をふりかざす。裏金づくりの当事者たちが、反省なく、なんちゃって法改正でお茶を濁す。怒りを超えて、絶望的である。

「本来は課税すべき雑所得を、政治のためという『例外規定』で非課税としているのです。裏金づくりや脱税をするなら、政治資金を非課税にする必要はない。一般国民は所得の5割を社会保険料や税金として取られているのです。1回こっきりの定額減税ではなく、恒久的な消費減税でもしてもらわなくては、納得できませんよ」(浦野広明氏=前出)

 30日に発表された「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」(旧サラリーマン川柳コンクール)の1、2位は、「増えるのは 税と贅肉 減る贅沢」「物価高 見ざる買わざる 店行かず」だった。国民の悲哀は岸田政権には届かない。
 

以下コメント略