「悪意はなかったが…」定額減税の給与明細明記問題で自民党幹部が釈明 橋下徹氏の追及に2024/05/26

岸田文雄首相の再側近で「懐刀」といわれる自民党の木原誠二幹事長代理は26日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時半)に出演し、国民からさんざんの評価を受けている定額減税額の給与明細への明記について「悪意はなかったが、もう少し配慮することがあってもよかったかもしれない」と述べた。

政府が今年6月から始める1人当たり4万円の所得税と住民税の定額減税について、各企業側に所得税の減税額を給与明細に記載するよう求め、その省令が6月1日に施行されることがあらためて明らかになった。唐突な形で給与明細への明記方針が表面化し、岸田首相に「恩着せメガネ」などの批判が拡大。企業側の負担が大きいこともあって、批判が強まっている。

大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏は「民間は事務負担のお金は出ないのに、作業がむちゃくちゃ大変。うちの事務所も会計事務所の研修を受けてやらないといけない」と不満を口にし「岸田政権は外交や内政でいろいろやっていると思うが、肝心のところで国民の琴線に触れる部分の、マイナスの部分で大きなところをやり過ぎている」と指摘。「給与明細のところで定額減税分を示せというんですよ。これがまた大変で、中小企業では会計ソフトが間に合わず、手作業作業でやらないといけないところもある。負担分は(明細に)書かずに減税分だけ書けと。こういうのはやめたらいいのではないか」と訴えた。

木原氏は「明細書に書かないといけないと決めたのは去年のこと。(選挙対策などの)下心ではない。所得が増えたと実感していただくことでしっかり消費していただき、経済を回していく効果をねらった」と反論しつつ「どなたかの負担になっている、事務コストになっているというのは真摯(しんし)に受け止める必要がある」と応じた。

橋下氏が「メッセージなら首相が会見をするなど、政治家が負担をこうむればいい。民間は大変ですよ」と追及すると、木原氏は「総理や幹事長が何かを言うことは非常に重要だが、長年続けたデフレマインドの脱却には国民の気持ちが前向きになっていかないといけない。給与明細に反映しご覧いただくことで、少しは所得が増えていることを実感していただこうと思った」と理解を求めた上で「悪意はなかったけれど、もうちょっと配慮することがあってもよかったかもしれない」と述べた。

政府側の期待とは裏腹に、今回の定額減税をめぐっては消費につながるかどうか不透明な部分があり、本当に国民の実感につながるのか疑問視する声も多い。