ドイツで二重国籍を容認する法改正 いまだ認めない日本に賛否両論

2024年4月22日

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ざっくり言うと

  • ドイツで二重国籍を容認する法改正がされたと「ABEMA Prime」が特集した
  • 現地報道によると反対意見も多いなか、労働力確保のため舵を切ったという
  • 国連加盟国の76%が認めるも日本は認めておらず、ネットでは賛否両論がある

日本でも「二重国籍」を認めるべき?なぜドイツは全面解除? パックン「外国人は帰化できるのに、日本人が海外の国籍を取れないのはかわいそう」

2024年4月22日 19時0分 

ABEMA TIMES

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【写真・画像】日本でも「二重国籍」を認めるべき?なぜドイツは全面解除? パックン「外国人は帰化できるのに、日本人が海外の国籍を取れないのはかわいそう」 1枚目

 今年1月、ドイツで二重国籍を全面的に容認する法改正がされ大きな話題となった。これまでEU加盟国の出身者に認めていた制限を撤廃したかたちだ。ドイツの報道によると、「国籍の安売りだ」などの反対意見も多い中、外国人の労働力を確保するため舵を切ったという。

【映像】二重国籍になる4つのパターン

 世界で見れば国連加盟国の76%が二重国籍を認める中、日本はいまだ認めていない。ネットでは「グローバルな時代だし、生き方も多様化している中、なぜ認めないかわからない」「二重国籍を認めると移民みたいな人が増えて治安が悪くなりそう」と賛否両論だ。

 グローバル社会における日本の二重国籍の是非について、『ABEMA Prime』で議論した。

■海外では二重国籍がないと不利益? 認めない日本でも存在する“実情”

 日本の国籍法では、「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」(11条1項)、「外国籍を有する日本国民はいずれかの国籍を選択しなければならない」(14条1項)とされ、原則、二重国籍が認められていない。必要性を訴えるドイツ在住36年の日本人・トルン紀美子氏は、ドイツ国籍を取得すると日本国籍を失うことになり、決断ができないという。

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「結婚し、子どもも孫も生まれ、これからもドイツでの生活は続いていく。永住権は6カ月間海外にいると消えてしまうリスクがあるので、ドイツ国籍を取りたい。しかし、日本国籍がなくなると戸籍から除籍になってしまい、私が日本人であるというアイデンティティがなくなってしまう。コロナ禍のような場合、外国籍の人は日本に入れなくなる。世界情勢も悪くなっている中で、日本に確実に帰れるものを失いたくない」

 また、ビジネス面でも圧倒的に不利だという。ドイツの場合の雇用の優先順位は、ドイツ国籍>EU国籍>その他で、就労ビザも二重国籍であれば取得が楽という。

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 国籍の取得・喪失に詳しい弁護士の近藤博徳氏は「差別という言い方をすることもあるが、国によっては日本以上に国籍のあるなしの扱いの違いが大きいところがある。例えば、EU加盟国の国籍を持っていれば圏内を自由に動けるが、持っていない人は毎回ビザを取らなくてはいけないので雇ってくれない。そういう待遇の違いからくるデメリットや不利益はたくさんある」と説明。

 一方で、日本は二重国籍を容認しているのではないかという見方もある。二重国籍になった場合は国籍を選択しなければならないが、実際に催告があったケースはない。帰化した場合は外国籍の離脱に努めなければならないが、「努力義務」で離脱しなくても罰則はない。2018年の推計では、約92万人の重国籍者がいる可能性がある。

■二重国籍認めたら選挙どうする?国籍目当てに日本に来る人が殺到しない?

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 二重国籍の問題点として、政治学者の岩田温氏は「日本人から生まれた子どもはどこの国にいても日本国籍を取ることができる血統主義。それに対して、世界の多くの国は出生地主義だ。ここの違いで問題が出る。二重国籍の人は選挙の時どうするのか?現状、日本では認めないほうがいいと思う」と主張。

 国防面から問題を訴える浜田聡参議院議員も「投票権は重い権利。二重国籍でそれぞれの国で権利があるなら、納税などの義務も同じようにあるべきだ」と訴える。

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 一方、近藤氏は「国籍はいくつ持っていてもいい」との見方を示す。「例えば、日本で生まれた日本人の子どもは日本国籍を持ち、アメリカ国内で生まれた日本人の子どもはアメリカ国籍(と日本国籍)を持つ。このように自国民の範囲はその国が決めるもので、複数発生するのは防ぎようがない話だ。そこで放っておくのではなく、人為的に制限しようという原則の話。かつては兵隊の取り合いなどがあったが、現在は相当解消されてきている。何が不利益なのかはもっと具体的に考えていかなければならない。それぞれの国で投票できるとしても個人の利益の判断で、自由だと思う」。

 日本で二重国籍になるのは、(1)外国で暮らすなどで意図的にその国の国籍を取得→日本では国籍消滅、(2)結婚や養子縁組で相手の国籍を得る→国籍を選択、(3)外国人が日本に帰化→日本国籍のみにする手続きを行う、(4)国際結婚で生まれた子ども(養子縁組や日本人父親から認知された未成年も)→18歳になってから2年以内に国籍を選択、の4パターン。

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 近藤氏は「(3)の帰化は法務省が一人ひとりチェックするのですごく厳しく、年間で大体1万人くらい。(4)も人間関係に基づくものなのでそんなに膨大にはいないだろう。国籍の選択も、国によっては自国に住んでいなければ与えない、成人するまでに自国に戻らなければなくすなど、ある程度絞っている」と説明し、「無限に増えることはないし、自分の意思でいくつも取れるような仕組みにはなっていない」と強調した。

 これにパックンは「外国人の日本帰化は今でも許されているし、二重国籍になり得る。しかし、日本人が海外の国籍を取れないのは日本人がかわいそうだ。トルンさんのように海外に住んでいてパイプ役になれるのに、1つしか持てないのはもったいない」と自身の考えを展開。

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 浜田氏は「どちらかというと、ドイツ外国人政策で失敗している国だと思うので、日本は独自で考えるべきだ」とした上で、トルン氏の現状については「特殊な例だと思うので、特例として認めていくことを否定するものではないが、定着されているのであればドイツ国籍を選ぶべきだと思う」との見方を示した。

 近藤氏は「国籍法は明治時代の旧国籍法から続いているもの。当時は今みたいに外国を行ったり来たりできず、行ったらそこに骨をうずめるという時代だった。“そういう人はもう日本人ではない”と切ることに違和感がなかった名残があると思っている」と指摘した。(『ABEMAPrime』より)

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