東京の保育園、子どもの遺伝子検査を推奨・仲介 保護者3割が応じる

2024年4月17日

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育児に活用するなどの目的で、親が子どもに遺伝子検査を受けさせるケースがある=ゲッティ(画像はイメージ)

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 東京都内の会社が運営する二つの私立保育園が、育児に役立つとして子どもに遺伝子検査を受けさせるよう保護者に呼び掛け、3割が応じていたことが判明した。こうした検査は科学的根拠が薄い上、子どもの将来に影響を及ぼす可能性があり、専門家から疑問の声が上がっている。

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 保育園運営会社の社長によると、遺伝子検査は運動や勉強の才能、知能指数(IQ)、病気の発症リスクなど500項目以上を調べる内容。香港の検査会社が提供するサービスで、子どもの唾液を採取した検査キットを送ると、アプリを通じて検査結果が届く仕組み。1人あたり9万円かかるという。

 2園に計約40人の子どもが在籍しているが、3月時点で3分の1ほどが遺伝子検査を受けたという。保育園は検査を仲介するが、子どもの検査結果は把握していない。

 遺伝医学が専門の福嶋義光・信州大特任教授は、才能を調べる遺伝子検査に科学的根拠はなく、「医療上の必要もないのに親の判断で子どもに遺伝子検査を受けさせることは倫理的に非常に問題だ」と話す。

 国内で個人向けの遺伝子検査を実施する事業者でつくる一般社団法人「遺伝情報取扱協会」は、本人が同意できる年齢になるまで待つべきだとして、検査を成人に限るよう自主基準で定めている。ただ、この保育園が仲介した香港の検査会社は協会に加盟していない。

 保育園運営会社の社長は取材に対し、「子育てのヒントになるとの思いで始めた。検査を受けるかどうかは保護者の判断に委ねている」と話した。【原田啓之、宮城裕也】

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