アセトアミノフェンは「適切な量」と定められている服用量でも、心臓組織に強い悪影響を及ぼす可能性が研究で判明2024年4月12日
明白になり続ける「アセトアミノフェンは安全」説の崩壊
コロナの渦中では、あるいは、インフルエンザが流行していた時期では、それが大人であろうが子どもであろうが、発熱に対しては、「カロナール」という処方がとても多かったと思われます。
カロナールは、一般名が「アセトアミノフェン」であり、解熱剤、鎮痛剤として広く処方、あるいは市販されています。
そのアセトアミノフェンの長期間の服用が、
「心臓のシグナル伝達経路に悪影響を与える可能性がある」
という研究が出されました。
つまり、「アセトアミノフェンは、心臓への安全性が低い薬剤である可能性がある」とも言えなくもない研究です。
プレスリリースはこちらにあります。
これまで、アセトアミノフェンに関しては、「脳神経への影響」がわかりはじめており、特に妊婦さんと乳幼児期の服用は、神経発達障害と関係する可能性が示されていました。以下の記事にあります。
・アセトアミノフェン(日本名:カロナール)の妊婦さんと乳幼児の服用は「子どもの自閉症や神経発達の問題の原因になる」エビデンスが示された論文が発表される
In Deep 2022年8月1日
また、アセトアミノフェンではないですが、「鎮痛剤の最大の問題」として、
「鎮痛剤は痛みを慢性化させる」
ということがあるのです。2022年5月のこちらの記事で研究を取り上げています。
今回ご紹介するエポックタイムズの記事には、以下のような部分があります。
アセトアミノフェンを毎日使用すると、薬物乱用頭痛として知られるリバウンド頭痛を引き起こす可能性があり、鎮痛剤を中止することで治療可能であるとリー博士は指摘した。
頭痛を治そうと思って鎮痛剤を飲んでいるのに、「その鎮痛剤の服用をやめない限り、頭痛が良くなることはない」というジレンマを…まあ、これは、ほぼすべての鎮痛剤に言えることですが、そういう部分があるのです。
それに加えて、アセトアミノフェンは「心臓に悪い可能性」が今回の研究で示されたわけです。
今は、心筋炎などのを含めた心臓の問題が大きくなっている時期でもあり、心臓への余分な負担はあまりないほうがいいとは思います。
鎮痛剤に関しては、慢性的な痛みをお持ちの方には、なかかな選択は難しいところなのかもしれないですが、解熱剤や鎮痛剤には、その「作用の代償」がそれなりにあることは事実のようです。
ここから研究を紹介していた記事です。
普通の頻度のアセトアミノフェンの使用が心臓の経路を混乱させ、潜在的なリスクを高めることが研究で示される
Moderate Acetaminophen Use Disrupts Heart Pathways, Raising Potential Risks: Study
Epoch Times 2024/04/11
マウスを使った新しい研究で、アセトアミノフェンがエネルギー、抗酸化物質、タンパク質の分解に関連する心臓経路を混乱させる可能性があることが判明した。
Screenshot
毎日服用しているような鎮痛剤が、良いことよりも害を及ぼす可能性があることがわかった。
新しい研究は、世界中で解熱鎮痛剤として頼りにされている薬剤の 1つであるアセトアミノフェンが、完全に安全だと考えられてきた成人の標準用量であっても、心臓組織に不健康な変化を引き起こす可能性があることを示唆している。
アセトアミノフェンは、タイレノールや他の多くの鎮痛剤の有効成分だ。(日本ではカロナールなど)
この研究結果は、この薬の潜在的な広範囲の副作用に対する懸念をさらに強めている。
アセトアミノフェンは重要な心臓のプロセスを妨害する
カリフォルニア州ロングビーチで開催されたアメリカ生理学サミットで発表された新しい研究によると、中程度の用量のアセトアミノフェンであっても長期的には潜在的なリスクと関連しているという。
研究者たちはマウスを被験者として、成人の場合 1日あたり500ミリグラムに相当するアセトアミノフェンを含む水を投与した。7日後、エネルギー産生、抗酸化物質の使用、損傷したタンパク質の分解など、心臓機能に重要なさまざまな生化学経路に関連するタンパク質のレベルに大きな変化が観察された。
この結果は、人間が使用するのに通常安全であると考えられている濃度であっても、アセトアミノフェンが心臓内の多数のシグナル伝達経路を妨害する可能性があることを示唆している。
「 2~ 3の経路が変化するとは予想していましたが、20を超える異なるシグナル伝達経路が影響を受けていることが分かったのです」と、カリフォルニア大学デービス校の博士課程の学生で、この研究の筆頭著者であるガブリエラ・リベラ氏はプレスリリースで述べた。
アセトアミノフェンは、指示に従って使用した場合は有害な副作用のリスクは低いと以前は考えられていた。この研究は、すでに胃腸障害、血圧上昇、肝臓毒性(大量に使用した場合)のリスクを含むその影響を理解するのに役立つ。
長期にわたる高用量の使用は体の解毒システムに負担をかける可能性がある
この研究結果は、アセトアミノフェンを中用量から高用量で長期間使用すると、酸化ストレスや薬の分解中に生成される毒素の蓄積によって、心臓の問題を引き起こし、体の解毒機構を圧倒する可能性があることを示唆している。
観察された変化は、アセトアミノフェンで治療したマウスの心臓でストレスが増加し、ミトコンドリアの機能不全が生じたことを示唆しているとリベラ氏は語った。
この調査結果は、用量と使用期間の重要性を強調している。中用量から高用量での長期使用は、低用量の摂取よりも大きなリスクを引き起こす可能性がある。
この実験の限界は、メスのマウスのみで実施されたため、その結果はオスのマウスやヒトにおけるアセトアミノフェンの定期的な使用の影響には当てはまらない可能性があることだ。
専門家はアセトアミノフェンは安全だと考えている
アセトアミノフェンは、4~ 6時間ごとに 660~ 1,000ミリグラムの低用量から中用量で安全であると考えられており、その量で一般的に使用されている薬だ。
現在のエビデンスに基づくと、アセトアミノフェンの使用に関連する心血管リスクは知られていないとスタテンアイランド大学病院の心臓遠隔測定部長サマンサ・リー博士はエポックタイムズに語った。
「健康な成人は、1日あたり最大 4,000ミリグラムなどの予想よりもはるかに多くのアセトアミノフェンを摂取する可能性があります」と彼女は述べたが、その過剰摂取は肝障害を引き起こす可能性があると警告した。
アセトアミノフェンを毎日使用すると、薬物乱用頭痛として知られるリバウンド頭痛を引き起こす可能性があり、鎮痛剤を中止することで治療可能であるとリー博士は指摘した。
リー博士は、頭痛や関節痛の鎮痛剤を勧める際、血栓形成、血圧、体液貯留を増加させ心血管疾患の転帰を悪化させるイブプロフェンやナプロキセンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)よりもアセトアミノフェンを好むと述べた。
「この研究は、アセトアミノフェンがマウスモデルの心臓のシグナル伝達経路に影響を与える可能性があることを示していますが、ヒトにおける心臓への有害な副作用は証明していません」とリー博士は述べ、関節炎と同様、心臓の症状は年齢とともにより一般的になると付け加えた。
「私にとって、推奨する鎮痛剤は、やはりアセトアミノフェンです」とリー博士は述べる。