千葉・印西市に世界が注目 データセンター集結の理由は【Bizスクエア】

2024年3月28日

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都心から1時間余りに位置する千葉県印西市に今、Googleやアマゾンを始め世界のIT企業のデータセンターが次々と建設されている。「データセンター銀座」と呼ばれる印西市を取材した。

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千葉・印西市に世界が注目 巨大データセンター内部は!?

千葉県印西市。マンションや住宅地に立つ窓のない巨大な建物。これらは、Googleやアマゾン、NTTデータなどの心臓部とも言えるデータセンターだ。

印西市では、ここ数年データセンターが次々と建設されており、世界でも「INZAI」として知られている。

データセンターには大量のサーバーや情報処理機器があり、金融や医療行政サービスなどネット上での情報処理には欠かせないインフラだ。重要な情報を集約することから、秘匿性が高く、所在地を明らかにしない企業が多い。

印西市役所によると「事業者が印西市内でデータセンターとして稼働していることを公表している企業は11社だが、市として、データセンター全ての施設数は把握していない」。

住宅地の中に多くのデータセンターが点在することに、印西市民は…

「地元に企業が来ることで自分たちも仕事が増えるので、そういう意味だと、とても地域の活性化に繋がるのでいいことだと思う」「印西市に税金が入るのはいいなって夫と話してました。(生活上での変化は)保育園とかがたくさん作られたりとか、あと公園を作り出したところみたい」「市としての魅力というか宣伝みたいな部分に関してはプラスになるのかもしれないですけど、ただ最近街中にもデータセンターが出来そうになっているので、それに関してはちょっと懸念がある」

特別取材! 巨大データセンター内部はどうなっている!?

データセンターとはどんな施設なのか、日本初のインターネット接続会社「インターネットイニシアティブ(IIJ)」の「白井データセンターキャンパス」の内部に入る許可を特別に得ることができた。

2019年に稼働を始めたこの施設。敷地面積は東京ドームと同じ広さの約4万平方メートル。秘匿性の高い施設なのか、白い外壁には社名さえも書かれていない。

まず見せてもらったのは、データセンターの心臓部サーバールーム。施設内のほぼ全ての扉は施錠されており、中に入るためには、その都度、ロックを解除しなければならない。

サーバールームはいくつかの小部屋にわかれており、部屋の中には、所狭しとコンピューターが並んでいる。

インターネットイニシアティブ 堂前清隆さん:
今見ていただいてるこちらのサーバーラック。この中にコンピューターがだいたい40台ぐらい入っている。家庭で使っているコンピューターと比べると、だいたいこれ1台で、家庭のコンピューターの40台分ぐらいの性能がある。なので、このラック1台のところで、家庭のパソコンの1600台分ぐらいの性能があるという形になっている。

このようなラックが約2000台あり、今後、約6000台まで増設していくという。これらサーバーの役割は…

インターネットイニシアティブ 堂前清隆さん:
企業の方が電子メールを受信される時に、その電子メールにコンピューターウイルスが入っていないか、また、偽物の電子メールじゃないかということを監視するということが求められている。それ以外にもAIであるとか、用途が増えてきている。更に性能が高いサーバーをたくさん置かなければならない。

こうしたデータセンターの大きな課題の一つが、空調管理。コンピューターによる発熱をどう効率よく防ぐかが鍵となる。

インターネットイニシアティブ 堂前清隆さん:
エアコンではなくて、屋外の冷たい空気を使ってコンピューターを冷却する「外気冷却」という方式を導入している。

外気冷却方式とは、文字通り、外の空気を、サーバールームに直接取り込んで冷却する仕組みで、消費電力を4割カットできるという。

気温が低い時期は外の空気とサーバーから出る温かい空気を混ぜ、外気温が高いときは外の空気を、水を使った冷却装置で冷やすことで、サーバールームは常に25度に保たれている。

この他にも停電に備え、2系統の電力回線と自家発電設備を設置している。

インターネットイニシアティブ 堂前清隆さん:
インターネットイニシアティブ(IIJ)の白井データセンターキャンパスは、新しい建物を作る計画をしている。これまでのデータセンターと違って、AI対応にするために、新しい仕組みを導入する必要があるだろうと考えていて、まさにその検討を行っている段階。

大規模データセンターは、なぜ印西エリアに集まるのか!?

大規模なデータセンターがなぜ印西エリアに立ち並ぶのか。日本データセンター協会副理事長で東京大学 大学院の江崎浩教授は…

東京大学 大学院 江崎浩教授:
あそこは非常に地盤が硬いところで、地震に強いというところが1つと、交通が成田に繋がっている列車があるので、非常に東京からのアクセスがいい。最後は電力系統が、東京電力がかなりの努力をしてくれて、非常に高電圧の高容量の電気を非常に早く、ほかの場所に比べて引いてあげるように、ビジネス的なディールをちゃんとやったので、そこにみんなが集まってきた。

国内最大規模のデータセンターが集まる千葉県印西市。増え続ける電力需要に、東京電力は隣接する船橋の変電所から10キロに及ぶ大量送電が可能な巨大トンネルを完成させ、2024年の6月から運用を開始する。

東京電力パワーグリッド 草間順一さん:
(トンネルじゃないとダメなのか)直径4メートル前後のトンネルなので、電車が入るようなトンネルになる。送電鉄塔でいくと、下に家があり、家の上に鉄塔が建てられないので地中で作らざるを得なかった。

さらに、トンネルの出口にあたる印西市側に新たな変電所を建設。既存の変電所と合わせると、供給量は約120万キロワット。2027年には180万キロワットまで拡大。現在、印西地区に供給している電力の約6倍になる。

東京電力パワーグリッド 草間順一さん:
山梨県の需要が大体100万キロワットぐらいなので、山梨県の2つぐらいの規模の供給力が、この千葉の印西だけで出る。

膨大な電力が印西エリアに供給される予定だが、既に電力不足が懸念されている。

東京電力パワーグリッド 草間順一さん:
この辺で120万キロワットの供給力があるが、すでにそれ以上の問い合わせがある。どこかに拠点をもう少し変電所をつくらないといけない。

印西市で増え続けるデータセンターについて、東京大学の江崎教授は…

東京大学 大学院 江崎浩教授:
あそこ(印西)も土地は十分あり、エネルギーが供給されればこれからも増える。関東は地震リスクかなり大きい。やはりバックアップをちゃんと持っておくということになる。印西だけではない場所にデータセンターを設置しておいて、ちゃんと事業継続できるような形にしておこうということを皆さん始めている。

大規模データセンター、これからの課題は?

――情報化社会、IT社会のこの一つの姿ですね。

東短リサーチ代表取締役 チーフエコノミスト 加藤出氏:
Googleのデータセンターは、アメリカと接続しながら、カナダ西海岸から海底ケーブル引っ張ってきたようだ。そういう拠点が日本国内にできるというのはすごく今後の先行きにとっても重要だと思う。ただ残念ながらデータセンター、雇用はあまり生まないという。本当はそこも伴うといい。

(BS-TBS『Bizスクエア』3月23日放送より)

 

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