東電柏崎刈羽原発でIAEAが核物質防護を調査 テロ対策に不備

2024/03/25

原発に入構するため、東電職員に誘導されバスに乗り込むIAEAの専門家チーム=2024年3月25日午前9時23分、内藤陽撮影

原発に入構するため、東電職員に誘導されバスに乗り込むIAEAの専門家チーム=2024年3月25日午前9時23分、内藤陽撮影© 毎日新聞 提供

 テロ対策の不備が相次いだ東京電力柏崎刈羽原発で、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは25日、核物質防護に関する改善状況の調査を始めた。東電の依頼を受けた現地調査で、4月2日まで実施する。

 専門家チームは5人。IAEAの基準などに照らして同原発の核物質防護対策を評価し助言するのが目的で、終了後、報告書を提出する。

 この日は、稲垣武之所長ら東電幹部と面会。稲垣所長は「(改善状況の)評価結果を謙虚に学び、さらなる改善に取り組むことで地域の皆様から信頼され、安心してもらえる発電所を目指す」とあいさつ。チームを代表して専門技術官が調査の目的などを説明した後、バスで原発内に移動した。

 同原発では2021年1月以降、社員のID不正利用や侵入検知設備の故障などテロ対策の不備が相次いで発覚。原子力規制委員会が同年4月、事実上の運転禁止命令を出し、検査の結果、昨年12月に命令を解除していた。東電は7号機の再稼働を目指しており、地元同意が焦点になっている。【内藤陽】

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核セキュリティーの不備は改善されたのか IAEAの専門家チームが柏崎刈羽原発を調査

 

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国際原子力機関(IAEA)の組織図

「IAEA」。日本語では「国際原子力機関」。主な役割は、原子力の平和的利用の促進、軍事的利用の抑止、原発事故の原因究明や事故再発防止の取り組みを進めること。アメリカのアイゼンハワー大統領が提唱した「平和のための原子力(Atoms for Peace)」という考えにもとづき、1957年に設。国際連合と連携協定を結ぶ自治機関のひとつで、本部はオーストリアのウィーンにあり、2019年現在の加盟国は171ヶ国。そのうち原子力に関して高い技術をもつと認定された13ヶ国が「指定理事国」に、そのほか総会で選出された22ヶ国が「選出理事国」を務め、各種の取り組みを進めている。