保守王国・熊本、自民に裏金の逆風 「与野党対決」の知事選

2024.3.7

熊本県知事選が告示され、候補者の第一声で「ガンバロー」と拳を突き上げる支援者ら=熊本市中央区で2024年3月7日午前10時54分、山口桂子撮影

熊本県知事選が告示され、候補者の第一声で「ガンバロー」と拳を突き上げる支援者ら=熊本市中央区で2024年3月7日午前10時54分、山口桂子撮影© 毎日新聞 提供

 7日告示された熊本県知事選(24日投開票)は4期目の蒲島郁夫知事(77)の引退で無所属新人の4人が立候補し、16年ぶりに新人同士の争いとなった。事実上の与野党一騎打ちの様相を呈する中、自民党派閥による政治資金パーティー裏金事件を意識した各陣営の選挙戦術もうかがえる。

 「皆さんの力で私を熊本の未来に押し上げていただきたい」。熊本市内での第一声で自民、公明両党が推薦する元副知事の木村敬氏(49)が訴えた。県選出の国会議員を自民が独占する「保守王国」の熊本だが、自民には逆風が吹く。

 木村氏は集会などで「永田町のスキャンダルと熊本の未来をてんびんにかけないでほしい」と強調。むしろ、東京大教授だった蒲島氏の教え子だった関係から蒲島氏の後継者を前面に打ち出す。この日も「私しかバトンを受け継げる者はいない」とアピールした。

 一方、立憲民主、共産、国民民主、社民の野党各党が自主的に支援する前熊本市長の幸山政史氏(58)は、同県人吉市内で上げた第一声で「政治不信が頂点を極めようとしている。熊本から私たちの手に政治を取り戻そう」と裏金問題を念頭に呼び掛けた。

 「県民党」を掲げ、草の根選挙を展開する幸山氏も、この日は「政治とカネ」の問題に時間を割き「政治家として言葉が軽すぎる。説明責任が果たされていない」と指摘。その上で「国政に緊張感を与えられるかという意味もある選挙だ」と木村氏をけん制した。

 有権者は何を思うのか。

 元小学校教諭の市花芳子さん(84)=人吉市=は「私たちは1円たりとも無駄にしない生活を送っているのに、政治家は何千万円ものお金をどう使ったか分からないなんて」と憤る。アルバイトの橋本力さん(77)=熊本市中央区=は「国政と知事選の候補者は無関係。知事選にどこまで影響が出るかは誰も分からない」とみる。

 知事選には元高校講師の宮川一彦氏(58)と、建設会社社長の毛利秀徳氏(46)も立候補している。【山口桂子、西貴晴】

 

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