立民・山井氏が新記録達成の「フィリバスター」 オランダ語の「海賊」が語源、議事妨害策 2024/03/01

 

平成30年の衆院本会議で安倍内閣(当時)に対する不信任決議案の趣旨弁明を行った立憲民主党の枝野幸男氏。演説は2時間43分におよんだ=国会© 産経新聞

演説を長時間続けて議事進行を遅らせる戦術は、「フィリバスター」と呼ばれる。欧米で実施例が多く、日本でも戦前の帝国議会では5時間を超す演説もあった。戦後は国会法で議長が発言制限をできるようになったこともあり、あまり例がなくなってきているが、重要法案などの採決を巡り与野党対立が先鋭化した場面では、しばしば登場する。

2時間54分にわたる趣旨弁明

1日の衆院本会議では、立憲民主党の山井和則氏が、小野寺五典衆院予算委員長(自民党)の解任決議案に関する趣旨弁明の演説を、午後1時15分の開始から同4時9分まで2時間54分にわたり継続。平成30年7月に同党の枝野幸男前代表が記録した2時間43分を抜き、衆院最長となった。

令和6年度予算案の衆院採決を遅らせるのが目的とみられ、額賀福志郎議長に演説理由を明確にするよう促されながらの〝独演〟だった。

入口封鎖の「ピケ」や「牛歩戦術」も

フィリバスターは、「海賊」や「略奪者」を意味するオランダ語が語源で、議会進行の「妨害者」の意味合いで使われる。採決のための委員会を開催させまいと入り口を封鎖する「ピケ」や、採決時に投票箱まで牛のようにゆっくり歩く「牛歩戦術」も、妨害策の一環として知られる。

枝野氏の記録以前では、その2カ月前の30年5月、同党の西村智奈美氏が、加藤勝信厚生労働相(当時)に対する不信任決議案の趣旨弁明を2時間6分実施。加藤氏の厚労委での答弁を「はぐらかしに終始した」などと批判したが、狙いは、野党が反対していた働き方改革関連法案の委員会採決を遅らせることだった。

19年には、同じく当時の厚労相不信任決議案の趣旨弁明で、民主党(同)の長妻昭氏が1時間47分を記録。参院では、16年に民主党(同)の森裕子氏が厚労委員長解任決議案の趣旨弁明で行った3時間1分が過去最長となっている。

 

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