「事なかれ主義的な対応」指摘も 個人情報流出、NTT西社長辞任へ

2024/02/29

顧客情報の不正流出問題を受け、記者会見に臨む(左から)NTTビジネスソリューションズの北山泰三社長、NTT西日本の森林正彰社長、NTTマーケティングアクトProCXの室林明子社長=大阪市都島区で2024年2月29日、妹尾直道撮影

顧客情報の不正流出問題を受け、記者会見に臨む(左から)NTTビジネスソリューションズの北山泰三社長、NTT西日本の森林正彰社長、NTTマーケティングアクトProCXの室林明子社長=大阪市都島区で2024年2月29日、妹尾直道撮影© 毎日新聞 提供

 NTT西日本の子会社「NTTビジネスソリューションズ」の元派遣社員が900万件超の個人情報を流出させた問題で、NTT西の森林正彰社長は29日、責任を取って3月末で辞任する意向を明らかにした。

 大阪市内で記者会見をした森林社長は「多くの皆さまに迷惑をおかけした。不正持ち出しの社会的責任は極めて重大。10年にわたって流出が続いてきた。私が責任を取るのが筋だ」などと述べた。後任は「しかるべきタイミングで公表する」とし、現在のところ未定とした。

 流出は2023年10月に公表された。元派遣社員は、コールセンター事業を行うNTT西の子会社「NTTマーケティングアクトProCX」が使用するサーバーの運用保守を担当。13年7月以降、使用が禁止されていたUSBメモリーで顧客情報を持ち出し、名簿業者に売却していた。

 公表より1年半ほど前の22年4月、顧客企業からProCXに対し、情報漏えいの可能性が指摘されていた点について、同社は顧客企業に「問題はない」とする社内調査結果を報告していた。今回新たに、その報告の際に「端末にUSBポートがない」などと虚偽回答をしていたことを明らかにした。

 調査の担当者は元派遣社員の不正流出を把握しておらず、漏えいを隠す意図はなかったとしているが、社内調査を検証した畝本毅弁護士は会見で「調査は事なかれ主義的な対応が繰り返された。虚偽回答もあり、極めてずさん」と指摘した。

 ビジネスソリューションズ社の北山泰三社長やProCX社の室林明子社長ら子会社の役員、調査に関わった社員の処分について、森林社長は「しかるべき時期に適正な範囲でやっていく」と話した。

 会見ではグループ全体で再発防止を進める考えも示した。情報セキュリティーに関する部署を統合して新たな組織を設けるほか、システム改修や監視体制の強化のために約100億円を投じる。

 今回の問題で元派遣社員は2月、不正競争防止法違反(営業秘密の領得、開示)の罪で起訴された。総務省は同月、再発防止策を指示する行政指導をしている。【妹尾直道】

 

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