福島第1原発の汚染水漏えい 原因は作業員の手動弁閉め忘れ

2024.2.15

汚染水が漏えいした排気口=東京電力提供

汚染水が漏えいした排気口=東京電力提供© 毎日新聞 提供

 東京電力は15日、福島第1原発の汚染水から放射性物質を除去する装置が入る建屋で汚染水が漏えいした事故について原因を発表した。主な原因は、本来は作業中に閉めておくべきだった手動弁を閉め忘れたことだとした。漏えいした汚染水については、当初の推計の約5・5トンから約1・5トンに、放射性物質の総量を約220億ベクレルから約66億ベクレルにそれぞれ下方修正した。

 東電によると、7日午前8時半ごろ、汚染水が通る装置の配管の線量を下げるため、洗浄水を流す作業を開始。同53分ごろ、作業員が地上から5メートルにある排気口から建屋外に水が漏えいしているのを見つけた。汚染水は約40分間にわたって建屋外に漏れ続けたとみられる。東電は、15日までに鉄板の水を拭き取ったり、周辺土壌の回収などを続けたりしている。

 現場では、下請け企業の作業員2人がペアになって手順書に基づいて手動弁が閉じているかを確認するはずだった。実際は、手順書と弁の番号を照合するだけで、弁の状態を適切に確認していなかった。作業を担当した下請け企業は、2020年度から十数回程度、同じ作業をこなしていた。これまでは弁が閉まっていたが、今回は装置の運転停止後に発生する水素を外に逃がすために弁は開いていた。

 作業員が確認していた手順書は、東電が作っている。だが、今回は装置の運転部門と保全部門の間の情報共有が不十分で、実際の弁の状況と異なる手順書を作っていた。東電の松尾桂介・福島第1廃炉推進カンパニー広報担当は「事案を重く受け止め、再発防止対策に取り組む」と陳謝した。

 廃炉作業が続く第1原発では1日4000人以上が働いているが、人為的ミスによるトラブルが頻発している。松尾氏は「人間はミスをするので、完全にヒューマンエラーをなくすことは難しい。仮にエラーが起こったとしても、大きなトラブルにつながらない設備面の対策も必要だ」と話した。【肥沼直寛】

知事「あってはならないこと」

 内堀雅雄知事は15日の定例記者会見で、第1原発での汚染水漏れについて「県民に不安を与えるトラブルが再び発生したことはあってはならないことだ。東電は、こうしたトラブルが繰り返し発生したことで、県民から厳しい目が向けられているということを十分認識し、全社を挙げてしっかり取り組んでほしい」と苦言を呈した。

 県は8日、第1原発の田南達也所長を県庁に呼び、再発防止策の徹底や安全管理体制の構築を申し入れた。【松本ゆう雅】

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