2024/02/09
自民党の杉田水脈氏© 毎日新聞 提供
ツイッター(現X)で自身を中傷する投稿に「いいね」を押されて名誉感情を侵害されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)は8日付で、杉田議員側の上告を棄却する決定を出した。限度を超えた侮辱行為だったとして、杉田議員に55万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決(2022年10月)が確定した。
最高裁が「いいね」を押した行為に対する賠償責任を認めるのは初めて。裁判官5人全員一致の判断で、小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べた。
1、2審判決によると、元TBS記者の男性から15年4月に性暴力を受けたと訴えた伊藤さんに対し、ツイッター上で「枕営業の失敗」などとする複数の匿名投稿があった。杉田議員は18年6~7月、こうした投稿25件に「いいね」を押した。
1審・東京地裁判決(22年3月)は、「いいね」は押すか押さないかの二者択一で「称賛」から「悪くない」まで幅広い感情を含む上に、対象が投稿の全部か一部かも区別できないとし、賠償責任を否定した。
一方、2審判決は、杉田議員が当時、伊藤さんに批判的な言動を繰り返していたことなど、2人の関係性や「いいね」が押されるまでの経緯を重視。「伊藤さんを侮辱する内容のツイートに好意的・肯定的な感情を示すために行われたものと優に認められる。伊藤さんの名誉感情を侵害した」と結論付けた。【遠藤浩二】
杉田水脈議員が上告 中傷投稿に「いいね」賠償命じた判決に不服
伊藤詩織さん逆転勝訴、杉田水脈氏に賠償命令 中傷投稿に「いいね」