深刻 増える災害関連死《能登半島地震》避難生活の長期化が大きな負担 衛生環境が整った二次避難の加速を 2024/01/15

深刻 増える災害関連死《能登半島地震》避難生活の長期化が大きな負担 衛生環境が整った二次避難の加速を

深刻 増える災害関連死《能登半島地震》避難生活の長期化が大きな負担 衛生環境が整った二次避難の加速を© 福島テレビ

能登半島地震で、これまでに確認された死者は221人。このうち13人が避難生活の疲労や健康状態の悪化で亡くなる、「災害関連死」と認定された。(1月14日時点)

<直接死を上回ることも>

避難している人が「もうそろそろ危ないっていうところまで来ているんです。何かまん延したら一発だな」と話すように、災害関連死は過去の災害でも深刻な問題となった。

復興庁によると、東日本大震災では2023年6月末時点の統計で1都9県で合わせて3794人に上っている。このうち福島は2337人と6割以上を占めて最多となり、地震や津波などで亡くなった「直接死」を上回っている。

2016年の熊本地震でも、犠牲者の約8割にのぼっていて、長期化する避難生活が心身に大きな負担を及ぼすことが浮き彫りとなった。

<災害関連死・被災地の現状>

ーー国も災害関連死の対策に力を注ぐ考えだが、現状は?

石川県の馳知事も高齢者などを中心にホテルや旅館に避難する二次避難を急いでいる。ただ全体の避難者約1万8000人に対して、二次避難を終えたのは1097人に留まっている。

現地で医療活動に当たった医師は、「ある問題点」を指摘する。

福島赤十字病院・渡部研一医師は「寝ていて何となく咳こんで具合悪そうだなという方ですね。見に行くと、酸素不足で肺炎を起こしていて搬送しないとだめだとか、関連死につながるような症例とかがありましたので」と話す。福島赤十字病院の医師、渡部研一さんは医療救護班として被災地に派遣され、能登町の避難所をまわり診察などを行った。

<普段飲んでいる薬が不足>

福島赤十字病院・渡部研一医師:「着の身着のままで出てきたりとかしてお薬がなくなっているという方、たくさんいらっしゃいました」

年末年始の帰省先で被災した人は、普段飲んでいる高血圧や糖尿病などの薬を持っていない人も多く、症状が重篤化するケースも。必要な、人やクスリが十分に届かない場合の災害も想定しておく必要がある。

渡部医師は「少し常備薬とかは(緊急時に備えて)持っていた方がいいかなとは思いますし、避難所での体調管理という意味で、ここ3年コロナとかでですね。皆さん感染対策は一回刷り込まれていると思うので、もう一度思い出してしっかりやっていただくのが、災害関連死を減らすという意味でも大事なんじゃないかなと思います」と話す。

ーー実際に避難所での状況はどうなのか?

断水が続く避難所では、トイレなどを我慢して体調を崩す人も増えていると聞く。

また、避難所では新型コロナやインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症も発生していて、石川県ではコロナが最も流行した時と同じくらいの対策を徹底するように動き出し、感染対策チームも発足。アルコール消毒の設置やマスクの配布を始めた。

これから先、1人でも多くの命を守るために、まずは衛生環境が整った避難所への移動を加速させる必要があると感じる。

<家屋の耐震診断を>

専門家が珠洲市で被災した木造家屋約100棟を調べたところ、半数以上が居住できない「全壊」だった。その中には1981年以降の新耐震基準で新築や改築された建物も多くあった。これまでの群発地震で住宅の柱と梁をつなぐ金具が緩んだり、壁に亀裂が入ったりして建物の強度が低下した可能性が高いという。

福島県内でも震災以降、震度6クラスの地震が何度も襲っている。皆さんの自宅の耐震診断を積極的に行うこと…そして、「1981年以前に建築された建物」という県による補助金の要件の幅を広げることなど、対応していくことが必要だ。

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