「予算管理内閣」岸田首相は総選挙まで持たない…2024年首相になるのは「無派閥のあの人」2024/01/01

安倍首相に筆者が提案したこと

明けましておめでとうございます。

「現代ビジネス」において本コラムを書き始め、今年は14年目になる。初回は、2010年1月5日公開〈なぜ日本経済だけが一人負けなのか 鳩山政権は日銀に「デフレターゲット」を捨てさせろ〉だった。

そこでは、リーマンショック後の財政政策と金融政策を書いている。〈2008年9月のリーマンショックに端を発した金融危機で、先進国では大きな成長の落ち込みがあった。当時は100年に一度の危機といわれたが、各国とも賢明な経済対策(財政政策と金融政策)によって、その危機に対処した。日本を除く先進国は、成長の落ち込みによるGDPギャップを、財政政策と金融政策で埋めたのだ。ところが、日本では埋まっていないので、二番底なんていう不安がでてくる。

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民主党政権になって、2011年3月11日、東日本大震災が起こった。復興予算はいいが、そのために復興増税にいて、筆者は、大震災直後の2011年3月14日付け本コラム〈「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を 菅・谷垣「臨時増税」検討に異議あり〉で猛烈に批判している。

筆者の論点の原点は、ここにある。第二次安倍政権の末期、コロナ禍が日本を襲った。当時の安倍総理から筆者にご下問があったのは、「インフレにせずに増税もせずに対策を考えてほしい」という、針の穴を通すような話だった。

GDPギャップの推計などから、結果的に100兆円対策(予算)、財源は発行した国債は日銀の買い受けという提案をした。インフレ目標を過度に上回るインフレにならないだろうと踏んでのことだ。これは、安倍・菅政権で実施された。

その結果、失業率増加で見た経済パフォーマンスは先進国でトップだ。しかも、かつてはコロナ増税という噂も財政当局から流されたらしいが、これまでのところ増税措置はない。実は増税措置をいえない仕組みにしたのだ。筆者としては、リーマンショック、東日本大震災のときの愚策を行わなかったのはよかったと思っている。

岸田首相は「持っていた」

岸田政権は「持っていた」。安倍・菅政権のように、民主党が約束した消費増税もない、コロナ禍もない。それで100兆円対策の景気効果があるままなので、経済運営は楽だった。さらに、昨年5月には地元広島でのサミットで錦を飾った。

2015年から2023年3月なでのGDPギャップの推移を見てみよう。

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楽な割には、ちょっとさえない。経済が悪いわけではないが、もっと突き抜けてもいい。それは、緊縮的な財政政策と引き締め重視の金融政策のせいだ。

「増税メガネ」と揶揄された岸田首相も、「減税」を頑張ってみた。しかし、減税は財務省の虎の尾を踏み、結果として財務省から強烈なハシゴ外しを食らっている。

この動きと、昨年末から世間を騒がしている検察の政治資金の動きは表面的にはまったく無関係だ。しかし、財務省と検察はともに国家権力を担うセクションとして相対する関係にある。

筆者が現役の財務省の役人であったときには、セクション間での人事交流があった。検察は、政治資金の流れの解明のときには、税法などが絡むケースもあるので、検察は内々に財務省に税法の適否を問うこともある。

もはや「予算管理内閣」

財務省から見れば検察の動きが多少見えていることもあり、今回の政治資金の動きを見越して、岸田首相のハシゴ外しに動いたのかもしれない。いずれにしても、昨年末からの政治資金の問題は、大きく自民党を揺さぶり、収拾がつかなくなっている。

岸田首相は政治の混乱をよそにも悲願である「安倍派外し」を試み、財務省の歓心を買おうとしたのかもしれない。しかし、時すでに遅しで、岸田内閣の支持率は低下し、青木率で見ても危険水域だ。

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岸田政権はもはや「予算管理内閣」だ。来年度予算を作り、国会を粛々と通すことしか役割はない。衆院通過は2月末、その後は自然成立で年度内予算成立が確実になるので、「ポスト岸田」が喧しくなるだろう。

今年9月の総裁選まで岸田政権はまず持たないだろう。次期自民党総裁選びは今回の政治資金問題で、安倍派、二階派は「1回休み」である。茂木派、麻生派、岸田派の支持を集めやすく、財務省がコントロールしやすいという人物を上げると、鈴木俊一氏(麻生派)や加藤勝信氏(茂木派)となる。

それで不満なのは、無派閥の人だ。「令和のリクルート事件」ともいわれる今の政治資金の問題をクリアして、自民党が国民の支持を集めるのは第一に無派閥でなければいけない。

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彼らの中では、高市早苗氏が総裁選出馬経験もあり、無派閥、女性、クリーンと国民人気を集められる要素をもっている。また、参議院であるが、青山繁晴氏は総裁選出馬を公言している。

世界の動きに対応できるか

もっとも、世界の方はもっと動きが急だ。

政治日程だけでも、今年1月13日に台湾総統選、2月はインドネシア大統領選、3月にロシア大統領選、 4月~5月インド総選挙、6月6〜9日に欧州議会選、 11月アメリカ大統領選挙と、主要国で政治図式がガラッと変わる可能性が高い。重要国際会議は、6月13-15日 G7首脳会議(イタリア)、11月18-19日 G20サミット(ブラジル・リオデジャネイロ)とある。

岸田政権は支持率低下で完全にレームダック化しているので、2024年は日本でも総選挙になる可能性がある。

日本に関係のある世界の出来事と言えば、1月の台湾総統選だ。現時点では民進党の頼清徳副総統がリードしているが、まったく予断を許さない情勢だ。ただし、中国がどのような候補が総統になっても、すぐには動かないだろう。11月の米大統領選まで行動を避け、その帰趨を見極めるのが合理的だ。

現時点では共和党トランプ氏が優勢だ。もしトランプ氏が大統領に返り咲いたら、アメリカ優先主義を極め、NATO離脱という選択肢もゼロではない。ウクライナは欧州問題として手を引き、台湾もアジア問題として関与しない可能性がある。

その場合、日本はかなり苦しい。「自由で開かれた」という民主主義をアジアで守るのは日本だが、その責務が果てしなく大きくなるためだ。

自民党内の派閥均衡的な考え方で、財務省の「増税ロボット内閣」になれば、経済はボロボロで、外向きにも日本の立場をはっきり主張できなくなる。自民党内で無派閥のトップが首相になれば、それとはまったく違った展開が期待できる。はたして2024年はどうなるだろうか。

 

<独自>また田中真紀子氏が岸田自民を痛烈批判「どこ見て政治やってるの?」「あきれた」「政治家失格よ」( 週刊現代)
http://www.asyura2.com/23/senkyo292/msg/783.html 2023 年 12 月 31 日

【独自】また田中真紀子氏が岸田自民を痛烈批判「どこ見て政治やってるの?」「あきれた」「政治家失格よ」
https://gendai.media/articles/-/120805
2023.12.19 週刊現代 :現代ビジネス

はぐらかし、居眠りばかり

「岸田さんのやってることは、まるで安倍政権の総決算じゃないの。あの人、本当に宏池会の政治家なの? 物価高には打つ手なし、戦争のための増税……どこを見て政治をやっているのかしら」

あの声がまた、激震の永田町に響き渡る。政界を事実上引退していた元外務大臣の田中眞紀子氏が12月8日、議員会館で集会を開催。古巣・自民党の体たらくを叱り飛ばしたが、その直後、本誌の取材にも応じ、岸田文雄総理や「裏金」を受け取っていた議員を追撃した。

「父の角栄が書いた『日本列島改造論』を、今年の3月に復刊したの。私はその序文に『はぐらかしと居眠りを続ける日本政治に危機感を抱いている』と書いた。この夏からは、自民党ではいよいよダメだと思って政治改革の勉強会を何度も開いてきたの。そこでまとめた改革案を発表しようとしたとたん、パーティー券裏金問題が出てきたじゃない。あきれたわ。


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そもそも『企業献金は政策を歪めるから、個人献金に切り替えよう』ということで、平成の時代にいまのような政治資金のしくみができた。政治献金の受け皿を政党だけにすれば、おカネの流れもスッキリするはずだったのに、自民党は抜け穴を見つけて裏金作りを続けてきたわけじゃない。黙っていられますか?

共産党以外の政党は、政党助成金として国民の皆さまから一人250円ずついただいているのに、それじゃ足りないって、有権者を愚弄するのもたいがいにしなさいよ。

『精査中』だの『答弁を差し控える』だのとはぐらかして質問に答えない議員は即刻、議場から退場よ。聞かれたことに答えるのが政治家の務め。答えられないのは、やましいことがあるからでしょ。そんなの失格よ」

79歳にして、その舌鋒はまったく衰えない。政界大混乱期のいま、眞紀子氏が政治の表舞台へ戻れば、国民は熱狂的に迎える、かもしれない。

「週刊現代」2023年12月23日号より

 

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