ベンチャー業界、セクハラ横行 無理やりキスも 女性経営者明かす

2023/12/25

職場のセクハラに苦しむ女性は多い=東京都千代田区で2023年12月22日、前田梨里子撮影

職場のセクハラに苦しむ女性は多い=東京都千代田区で2023年12月22日、前田梨里子撮影© 毎日新聞 提供

 「愛人を探しているんだ」。3年前に創業した女性経営者は、取引先の男性社員から突然、こう声をかけられた。別の会社の男性から同じような話をされたこともある。

 取引先の担当者と一緒にタクシーに乗った際には、車内で無理やりキスをされた。「こんな人と一緒に仕事もしたくない。取引先の男性と会うのも怖くなってしまう」

 女性経営者はこう憤りつつ、ため息まじりに言葉を続けた。「セクハラで仕事にならない経験をした女性経営者は、かなり多いと思いますよ」

 日本の起業熱は海外に比べ低い。有力な新興企業がなかなか育たず、日本経済の成長を縛る弱点となっている。女性に絞れば、起業家はさらに少なくなる。なぜか。背景を探ると、一因として浮かんできたのは深刻な性的被害の実情だ。

 新興企業関係者によると、スタートアップ業界では飲み会など非公式の会合を通じて情報交換や仕事の詳細を詰めることが多い。

 資金を提供するベンチャーキャピタル(VC)や、仕事を依頼する取引先の立場が相対的に強くなりやすいこともハラスメントを助長させている。

 起業家の支援サービスを手がける企業の担当者の悩みは深い。「セクハラが横行する業界に絶望して『私には向いていない』と起業をあきらめてしまう女性も少なくない」

 女性起業家に立ちはだかるのはセクハラだけではない。「女性像」の呪縛がつきまとい、家事や子育ての負担も重い。資金調達など実務面での不利益も多いという。【岡大介】

 

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