老健での居住費、相部屋にも室料負担 厚労省提案に反対意見相次ぐ

2023.12.4

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影© 毎日新聞 提供

 厚生労働省は4日の社会保障審議会の分科会で、介護老人保健施設(老健)などの相部屋の室料について、低所得者を除いて全額自己負担とする方針を示した。ただ、出席した委員から反対意見が相次ぎ、厚労省は実施時期について慎重に検討する。

 介護保険では、施設の居住費は保険給付の対象外。特別養護老人ホーム(特養)や老健などの個室では光熱水費と室料がかかり、相部屋では光熱水費を負担する必要がある。

 相部屋については、死亡して退所する利用者が多く、事実上生活の場になっているとして、特養では2015年から室料がかかるようになった。今回、同様の理由で老健の他、介護医療院や介護療養型医療施設にも負担を求めることとした。

 ただ、委員からは、たんの吸引など医療行為が行われていることや、1人あたりの面積が特養より狭いといった実態から、「生活の場」とみなすことに異論が相次いだ。このため、厚労省は全額自己負担化の方針を来年の通常国会に提出する介護保険法改正案に盛り込むかどうか検討する。【宇多川はるか】

 

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