8億円を供給 安倍政権がカンボジアの選挙に手を貸すワケ 二極化・格差社会の真相(日刊ゲンダイ) 
 
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8億円を供給 安倍政権がカンボジアの選挙に手を貸すワケ 二極化・格差社会の真相
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/235385
2018
815日 日刊ゲンダイ
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     安倍首相とフン・セン首相(C)共同通信社
 
 7月29日に行われたカンボジアの総選挙は、与党人民党が全議席を独占する見通しだ。異常な事態がフン・セン政権の非道によるのは周知の通り。フン・センは昨年11月、最高裁を通して野党第1党・救国党を解党させた。党首のケム・ソカ氏が国家反逆罪で逮捕・起訴され、118人の議員が5年間の政治活動禁止処分を受けている。メディアへの弾圧が凄まじいのも言うまでもない。まっとうな選挙が成立し得る状況ではなかったのだ。だから当然、米国やEUはさっさと選挙への協力を取りやめた。1991年のカンボジア和平以来の民主化に関与してきた日本政府にも、在日カンボジア人たちが請願書を届け、あるいは救国党の元幹部が自民党の高村正彦副総裁に会って「民主主義を取り戻す支援を」と求めた。が、アベ政権は知らん顔。国家選挙管理委員会に無償資金協力で約8億円を供与したりと、フン・センのイカサマ選挙を正当化する役目を果たし抜いた。
 
 なぜか。アベ政権が卑しいからである。少子高齢化に伴う内需の縮小で、外需の拡大を急ぐ日本企業にとってカンボジアは有力な市場だ。東洋経済新報社の調べによると、2011~16年における現地法人の増加率でミャンマーに次ぐ第2位。JICA(国際協力機構)が音頭を取り、今やメガバンクや総合商社、大小メーカー、流通業が出そろう金城湯池。インフラシステム輸出の国策にとっても格好のターゲットなのである。
 
 専門家たちの論考を総合すると、ところが最近、中国の進出が著しい。やはり選挙協力に余念がない彼らも暴政には見て見ぬふりなので、日本が欧米を真似て内政干渉だとみなされたら、市場から締め出されてしまうという危機感が政府にはあるというわけ。
 
 開発援助ビジネスというのは賄賂を集中できる独裁体制の方がやりやすい。かつてのスハルト・インドネシア大統領やマルコス・フィリピン大統領の再来を、アベ政権は夢見ている。だから卑しいと言うのである。もっとも、フン・センもアベも恥を知らない点で同類だ。何も言えた義理ではないのも確かではあった。ああ、これでまた日本人は、現地でも世界中の人々にも軽蔑され、笑いものにされていく。日本がカンボジアPKOに参加した1993年、文民警察官の高田晴行さんと選挙監視員の中田厚仁さんが殺害されている。アベ政権の独裁支援は、彼らの魂に唾を吐きかけているのにも等しい。
 
斎藤貴男 ジャーナリスト
 
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」(朝日新書)、「機会不平等」(岩波現代文庫)、「国民のしつけ方」(インターナショナル新書)など著書多数。