(壱也side)



病室に二人の刑事さんがやって来た。

聴取は今も続いているが、みずきにも話を聞きたいらしい。






「教えて欲しい事があるんだ。連れて行かれた時、何があったか覚えてるかな?」

みずきが怖がらないように優しく話し掛けてくれる。

「うん」

「話してくれるかな?」

「あのお兄ちゃんがね、お家の人が帰って来るまで部屋においでって言ったの。本当はついて行ったらダメだと思ったけど、いつもいっしょに歩いてくれるし、いい人なんだと思って……」

「毎日一緒に歩いてたのかな?」

「やさしかったし、知らない人じゃないから……」






俺達はみずきの話を聞いて怖くなった。

小さい子には知らない人について行ったら駄目だと教える。

でもそれは知らない人じゃなければ構わないという考えにも繋がる。

それが今回の犯人だったのだ。






「じゃ、次はお部屋に行ってからを教えてくれる?」

「ジュースをくれた。でも飲んでるうちに眠くなっちゃって」

「眠ったんだね」

「目が覚めたらお兄ちゃんが、お家の人がまだ帰って来てないみたいだって教えてくれて。でも、ボーッとして起きられなかったからまた寝ちゃったの」