(咲也side)
「みずき、美味しい?」
「うん。やっぱりさくちゃんのが一番」
俺達は皆、ベッドのみずきを囲んでいる。
みずきにはおかゆとスープ、俺達はおにぎりとスープ。
おじさんなんてホッとしたら急に食欲が沸いてきたのか、おにぎりをもう三つ目だ。
おばさんと修はおにぎり一つを味わうように食べている。
皆、本当は胸が一杯なのを隠している気がする。
久々の時間。
本当に良かった。
夜はみずきの側には壱兄が付く事になった。
俺達もいたかったけど、そういうわけにもいかない。
本当は病室に付き添う事は出来ないのに、病院側の配慮で一人だけ許可してもらえた。
そこで日替わりで、みずきに付く事にしたのだ。
今日は壱兄。
明日は文兄、明後日は俺。
文兄は仕事の時間と重なるのだけど、どうしても付いてやりたいと言ったのだ。