(咲也side)
「そうですか、すみません。ありがとうございました」
「咲兄、どうだった?」
「どこにもいない」
「いったいどこに行ったんだろう」
「帰る時はクラスの子達と一緒だったらしいけど」
「家の近くまでは確認出来たんだよね」
「うん」
「おばさんとこにも寄ってないし、文兄のカフェにもいない」
「俺がちゃんと早く帰って来れば……」
「咲兄のせいじゃないよ」
俺は今日、レストランでのバイトが忙しくて帰るのが遅くなってしまった。
いつもならみずきが帰って来る前に家で待っているはずだったのに、お客さんが多くて店長からもう少し残ってくれと言われた。
みずきの帰りが気掛かりだったのに、バイトを放ったらかすわけにもいかず。
なんとか終わらせて急いで帰って来れば、みずきの姿はどこにも見当たらない。
どこかで遊んでいるのかと思い、しばらく待っても帰って来ない。
念のため、みずきの友達の家に電話しても、みずきはいなかった。