「亘くん。この子の名前、なんて言うの?」
「元々の名前はわかんないんだよね。だから昨日の夜に考えた名前を付けたよ」
「なんて名前?」
「ソレイユ。フランス語で太陽って意味らしい」
「なんか柴にしてはハイカラ過ぎる気もしますけど」
「本当は翼って名前にしようかとも思ったんだよね。ほら翼っぽいだろ?」
「宇田川先輩……。俺を飼う気ですか?」
「ふふ……、ごめん。でも昨日初めてこいつを見付けた時の太陽がすごい綺麗だったからさ」
「いいんじゃない?ソレイユ……。亘くんっぽい名前だよ」
ソレイユがミルクを飲み終わると俺は山田にさっそく尋ねた。
「オムツの前と後ろがわかんなくてさ。これどっち?どうやってつけたらいいの?」
山田は今日の朝、ホームセンターのペットコーナーに寄って必要な物を色々と買って来てくれた。
何が必要か、どうしたらいいか、犬を飼った事のない俺にはわからない事ばかり。
買って来てくれた袋の中にはオムツやウエットティッシュ、トイレシートや消臭スプレー、水やミルクを入れられる皿、その他諸々こんなに必要なのかと驚くくらいのたくさんの物が入っていた。
そして犬を飼った事のある人間ならではの考えで、折り畳めるケージも用意してくれた。
これがあれば仕事中はケージに入れて寝かせる事が出来そうだ。
山田の手付きはさすがで、いとも簡単にオムツを替えてくれた。
オムツの向きや替え方を教わるのは俺だけでなく、大輔と翼も一緒だ。
「多分、二~三時間毎にオムツ確認した方がいいです。オムツの外から手を当てて触ってみたらわかるから」
ミルクを飲んでオムツも替えて安心したのか、ソレイユはゴロンと横になって開いてるのか開いてないのかわからない目を開けていた。