肉。肉が食べたい。

 

心の底から肉を欲していた。塊の肉が食べたかった。

 

僕は基本的には引きこもりだから買い物が億劫である。だから気を抜くとつい買い物をサボって食料が乏しくなり、炭水化物中心の食事になってしまう。

 

破産寸前の引きこもりのくせに食材と調味料だけは金を使うからそれでも美味い。美味いが、それだけでは満たされないのだ。

 

だから時々どうしようもなく肉を欲する。圧倒的な肉欲(!)。

 

 

そんなわけで朝からチャーシューを作った。

 

作ったと言っても作ると言うほどのこともない。ネットに入った豚の肩肉ブロックを買ってくる。

 

そして使うのがホットクックだ。こいつはなかなか重宝する。彼のことは料理長と呼んで日夜こき使っている。しかし、こき使われているのは果たしてどちらだろうか。

 

野菜を刻んだり下ごしらえをしたりと、比較的下働きっぽいことを僕がしていてメインを彼がやるわけだから、もしかすると下働きしているのは僕の方なのかもしれない。

 

…まあいい。

 

肩肉700gをホットクックに入れ、醤油を100cc、みりんと酒を50ccずつ、さとうを大さじ4杯、しょうがとニンニクを適当にスライスして、あとは青ネギを一本。

 

ホットクックには「豚の角煮」というモードがあるからスイッチを押して95分待つ。

 

これだけ。

 

ホットクックのおかげでチャーシューづくり=面倒くさいという思い込みから圧倒的に解放された。

 

だってほっときゃいいんだもん。

 

とはいえ、本当は美味しく食べるためにはちょっとしたひと手間が大事でそれが大きく味わいに影響するからバカにできない。

 

美味い飯をつくるにはレシピに書いていないひと工夫をどれだけするかにかかっている。

 

豚肉が95分片面しかタレに浸かっていない状態なのは好ましいことではない。だから途中で一度ふたを開けて肉をひっくり返す。

 

そして出来上がったら漬けダレを濾してフライパンで強火で煮詰める。それを肉とからめてやるのだ。

 

香味野菜で風味のついた醤油と砂糖の合わせダレが香ばしく煮詰められてご近所中に漂う。そして、豚から出る脂とタレが合わさってなんとも美しい照りで肉が映える。

 

何度か肉をひっくり返して丁寧にこのタレを絡める。キャラメリゼってやつだ。

 

 

Oh~、キャラメリゼ~

Oh~、キャラメリゼ~

 

いつも~何か~すてきな~豚が~

私を待つよ キャラメリゼ

 

 

煮詰めすぎると苦くなるから適当なところで歌うのをやめて火を止める。

 

ここまでがホットクックのレシピに書かれないひと手間。これをすると何倍も美味くてプロっぽいお味になる。

 

そのまま食べても美味いけどチャーシューは一度冷やすとよく味が染みるし切りやすくなるから一旦冷蔵庫へ。

 

食べる時には軽く温めて分厚く切る。ラーメン二郎の豚くらいの厚みが理想。そうそう、肉を食うってこういうことよね。

 

薬味は刻みネギだけで十分。アツアツのご飯の上に豚を載せてタレをかけたらこれだけで3杯は食えちゃう。食わないけど。

 

チャーシューは2本作っておけば、ひとり暮らしなら、しばらくは楽しめる。

 

チャーシュー丼に、ラーメンに、チャーハンに。ああ、夢が膨らむ。

 

そうそう、チャーハンにするなら仕上げの味付けにチャーシューのたれを使うととても美味しい。

 

チャーハンって意外とお砂糖が大事だから甘辛いチャーシューのたれはちょうどいいのだ。

 

あ、いけね!また炭水化物だ。