大相撲横綱伝『隆の里俊英』２
新横綱の昭和58年９月場所は、初日から快調に白星を重ね、同じく全勝の千代の富士と、昭和39年３月場所以来、通算４回目の千秋楽全勝横綱対決となりました。
この一番は、隆の里が千代の富士の相撲を研究し尽くして、先輩横綱に貫禄勝ちを収め、新横綱での全勝優勝を飾ります。
尚、新横綱の全勝優勝は双葉山以来で、新横綱の優勝は、東富士と大鵬以来でした。
11月場所は、１敗同士の千秋楽横綱対決となり、千代の富士の気迫に完敗しました。
翌年１月場所は、２敗同士の千秋楽横綱対決で、またしても千代の富士を力相撲で破り、優勝を飾ります。
しかし、隆の里が横綱として活躍できたのは、この場所が最後となりました。
次の３月場所は11勝止まり、５月場所も11勝、７月場所は10勝止まりと成績を落とします。
この頃は、昭和60年完成の新国技館での土俵で一花咲かせることを目標としていました。
そして、蔵前国技館最後の場所は、大変な旋風が土俵を吹き荒れました。
ハワイからの新鋭小錦が２敗で走りました。
隆の里、千代の富士も２敗、大関若嶋津と平幕多賀竜が１敗で優勝争いとなりました。
横綱北の湖は途中休場です。
隆の里との対戦は、10日目でした。
横綱と新入幕２場所目の平幕の対戦は、本来横綱が軽くあしらうはずでした。
しかし、体重200㌔を超える巨体の小錦は、横綱をもものともせずに、突き出して２敗を守ります。
11日目は小錦は１敗の若嶋津にも勝ち、優勝が濃厚となりました。
次へ続きます。