Gate of Nightmares最終話『大切な仲間たち』感想 | ルーメン・イストワール

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扉絵

扉絵は、仲間を守る為に再び立ち上がったアゼル

前回の「仲間がいる」と言った時の表情を彷彿とします。

まず初見「最終話」って単語が見えちゃったの印象的でしたねー。

まさかのまだ物語の2章、シオン戦も始まったばっかのようなタイミングですが、唐突な最終話。

打ち切りだったんでしょう。

面白かったんだけどなー。ゲームのコミカライズって条件だけで多くの人に読んでもらうのは難しいか…。

今回は最終話らしくここからシオンを倒すぞ!って気魄が伝わってくるアゼルが扉絵を飾っていました。

こういうボロボロになりながら立ち向かう主人公ってかっこいいですね。


最終決戦

唐突な最終話、作者も全然予期してないタイミングだったとは思いますが、それでもしっかり最終決戦として盛り上げて一つの作品としてできる限り丁寧に〆る工夫が感じられました。

まずその開幕

「最終話」の単語に続いて、覚醒したベビドラとそれに乗ったアゼル「最終決戦といこうぜ!!」「最終決戦」を強調するシオン。

ここでシオンが「最終決戦」という言葉を使うのは少々違和感があるんですけどね。

別にシオンがアゼル達と戦ってきた歴史って長いわけじゃない。

ノーグ族が守ってる神星魔石を手に入れようとしてこの場に来て、立ちはだかってきたアゼル達との戦いは降りかかる火の粉を払うぐらいの感覚だったと思います。

別に「最終決戦」という感覚を意識するほど、長い戦いになってない。

それでもここでシオンに「最終決戦といこうぜ!!」と言わせたのは、コミカライズとして一応の最終決戦を演出する為の台詞だったんだろうなと思います。

そう言われると読んでて盛り上がれます。

ゲトメアコミカライズ、終始ゲームのコミカライズを漫画としてどう面白くするかの工夫が感じられる作品でした。

アゼル、前回に続いてシオンを殴って戦ってるのシュールだな…!

剣が折られた事で拳で戦うしかない状況なんだけど、その状態が普通に強くて笑ってしまう。

シオンを地面に叩き潰す殴りも、後方に吹っ飛ばす殴りも威力半端ないよ。

ぶっちゃけ剣いらないのでは?と思うほど。

もしかしたらこの時ベビドラ同様アゼルもナイトウォーカーとして進化していたのかもしれませんね。


進化した剣

最終決戦らしく総力戦としてエマも参戦。

必殺技のムーンアローを放ちます。

エマは遠距離攻撃タイプなのでアゼルとの連携が上手いです。

そこでエマにやり返そうとしたシオンに追撃したのが、進化したベビドラ。

大きな手で潰します。

ギリギリのところで堪えていたシオンだけど、こうやって見ると最早シオンが可哀想に見えてくるレベルのリンチっぷり…!

ベビドラの炎を避けたのに、アゼルに殴られるし、エマにムーンアロー放たれるし、ベビドラに踏み潰されるし、シオン側は一人でめちゃくちゃ頑張ってるなと思います。

尺の都合上描かれる事はなかったのだろうけど、せめて相棒のナイトメアは出てきてほしかった…!

そしたら誰かしらの攻撃は防ぐ事ができたのにw

こうまでくると、最早戦いとしてイージーモードというか、むしろ大変なのはシオンの方ですもんね。

複数人で戦って何とか勝てる戦いというのも良いけど、今回に関してはシオンがそういう敵として見合ってないなと感じました。

描写不足もあって、アゼルと互角ぐらいのイメージがある相手を皆で倒した印象です。

一度折れたアゼルの剣

それを再びメルルがアゼルに渡します。

「折れた剣じゃどーにもなんねーだろ!!」と言うシオンですが、そこでアゼルはアビゲイルの言葉を思い出しました。

「折れた刀じゃナイトメアがいないと戦えない けどナイトメアとの信頼関係が強い程ナイトメアの与える力も強くなるの」

その言葉を思い出し、ベビドラの力を借りてアゼルの剣が復活しました…!

「折れた剣が復活した…!?いや…進化したのか!!?」とシオンは感じ取っています。

確かに剣が全体的に黒色になって、より凝ったデザインの装飾になってる気がする。

「武器の進化」という概念は原作ゲームにはない設定ですが、これはこれで面白い…!

確かに武器も立派な戦いで洗練されていくものなので「進化」のような現象があってもおかしくないですね。

意外と他の漫画でも武器の進化って発想はない気がするので面白い展開だと思いました。

ただ復活しただけでなく、進化して戻ってきたっていうのが激アツ。


決着

「ムーンガルドは最強の国!!たかがナイトウォーカーが…勝てる相手じゃねーぞ!!!」と主張し最後の一撃を喰らわせようとするシオン。

一応の最終決戦らしく、まるでムーンガルドの代表者かのような発言です。

ここでも最終決戦としての盛り上げを感じるものでした。

互いに大きな声で主張して攻撃をぶつけるというのはベタな演出…!

強い想いがぶつかるって熱いです。

アゼルの方もそのシオンの主張に言い返す。

「国とか戦争とかんなモン知らねぇ!!俺は一緒に冒険できる仲間がいれば充分だ!」

間違いないですね。

まだまだ物語も序盤で終わった為、アゼルはムーンガルドが如何なる国で何をやろうとしてるのか知らずじまいで終わりましたし、そんな状況でアゼルが言うことはこれでした。

国とか戦争とか知らない。俺は一緒に冒険できる仲間がいれば充分。

こういうニュアンスの言葉は、FAIRYTAILのナツも言っていたな。

「うぬこそが王にふさわしい」とアクノロギアに認められたナツは「王になんかなりたくねえよ」と返答していました。

「王にふさわしい」と言われても「王になんかなりたくねえ」というのが本音。

そうやって「王」として認められるに至ったのが「よくばるな オレは仲間がいれば他に何もいらねえよ」という発言でした。

「仲間」を何よりも重要視して、他の多くは求めない。

アゼルとナツ、ひいては真島作品主人公全体に通ずる精神性です。

そんな言葉を返したアゼルは「紅蓮の咆哮!!」でシオンを斬る。

いつものアゼルの必殺技ですが、これ1話と全く同じ構図を意識してるんですかね。

ホランド戦、1ページ使って、アゼルが真前に来て敵をぶった斬る。

あえて最終話と1話を重ねた構図なのかなと思いました。

こういう対比の演出も好きです。


アゼエマ

満身創痍になりながらシオンを倒したアゼル。

「ハァ…ハァ…」と息切れするし、思わず剣を手放すぐらい疲労してるし、フラッと倒れそうになって、それをヒロインのエマが支えるシーンが最高でした。

ボロボロの主人公をヒロインが支えるボーイミーツガール、真島作品で古くから伝わる最高の関係性です。

FAIRYTAILでもナツの勝利を賞賛するルーシィのシーンが何度か描かれていますし、ああいう魅力。

マツオカヨシノリ先生、"理解(わか)ってる"な…

歯にかんで「ありがとうなエマ」と伝えるアゼルも「無理しちゃってもう」と労うエマが良き良きの良きでした。

もうこの一連のシーンだけで、真島作品成分を多大に摂取する事ができます。

こういう主人公とヒロインの関係性が好きなんですよね〜。


大切な仲間たち

戦いを終えて、エストレアに戻ってきたアゼル達。

ノーグ族の村から帰ってきたそれぞれの後日談が描かれます。

まずは、オリバー

オリバーがエストレアの王子である事が分かりましたが、今回はその繋がりでエスティオとアビゲイルとの絡みが描かれました。

オリバーに怒るエスティオって構図が新鮮で面白いですw

本来下の立場で強い物言いはしないんだろうけど、流石に今回は度が過ぎますよという雰囲気で睨んでいました。

ギャグっぽい描写になってて面白かったです。

ノーグ族の集落での冒険を経て、アゼル達の仲間になるのが原作ゲーム本来の世界線なのですが、コミカライズでは仲間になりませんでした。

これも尺の都合上描写不足だから改変したんでしょうね。

オリバーが仲間になるとなったら、その為の描写が必要になるし、そうすると更に話数がいる。

今回が最終話なので、限られたページ数でどう扱うかという部分で「アゼルの新たな仲間」ではなく「エストレアの王子」というキャラクター性で留まったまま話を終えました。

これはこれでパラレルワールドを見てるような気分で面白かったです。

そして、アゼル達は新たな冒険へ。

今回の戦いで進化したベビドラ(最早ベビーじゃないですが)の大きな背中に乗って、アゼル&エマ&メルルで冒険します。

目的は、エマの姉ちゃんとメルルの記憶。

まだまだ達成が遠い目標です。

原作ゲームのストーリーはまだまだ先があるので、ここから果てしない冒険が続く事がより想像されました。

広大な世界を大きなドラゴンに乗って旅する絵面が良い。

巨大ドラゴンに乗って旅するってこれまで意外と真島作品で描かれてない絵面な気がする。

光景としてのインパクト大きいし、最終話らしい満足感のある展開でした。

一応の最終話としてのこの物語のアンサーが示されたのも良いカタルシス。

「ナイトメア それは人の夢から生まれたモンスター この世界に共に生きる仲間たち」

1話冒頭だとナイトメアは人の「悪夢」から生まれたという話だったけどそれが「夢」に変わり「共に生きる仲間」と表現された…!

物語が全肯定されるゲトメアらしい良いアンサーでした。