Gate of Nightmares第11話『死のワルツ』感想 | ルーメン・イストワール

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扉絵

扉絵は、何やら鳥と話してるエスティオ。

前回、前々回の扉絵がアビゲイルがアゼル達と合流するまでの前日譚っぽかったですが、今回はエスティオがアゼル達と合流するまでの前日譚っぽいですね。

エスティオが如何にしてアゼル達の危機を知り、この場に駆けつけたのか、その経緯は分かっていませんけど、もしかしたら伝書鳩的な鳥から知らせを受けて、赴いたのかもしれない。

こういう本編では公開できていない情報を扉絵で補完するシステム、好きです。


アビゲイルの戦い方

アビ様、強い。

ウロボリアが呼び出した氷の大蛇を一瞬で切り裂いていました。

明らかにウロボリアの操る主力のナイトメアっぽかったのに、瞬時に破壊できるスペックの高さ。

流石、七星騎士団。

その後も幾多もの攻防があって、最終的な評価は少し落ち着きますが、まずはアビゲイルの七星騎士団としての格高さを見せつけてくれたと思います。

ナイトウォーカーのナイトメアを一瞬で撃破するってだけでありえんぐらい強かった。

アビゲイルは技もかっこよかったです。

「"陽炎"」という炎の剣。

迫り来る氷の刃を炎で一掃していました。

最初こそ自分が身を引く事で避けていた氷の刃だけど、流石に物量が多すぎてこの技を使ったのかな?

氷の刃を打ち消す為に、炎の剣で切り伏せていました。

これも技名込みでかっこいい。

「陽炎」とは「天気のよい穏やかな日に、地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象」。

真夏によく見るやつですね。

「炎のようなものを生み出す現象」なので「炎」と繋がりがある。

他の漫画でも「炎」に冠するものとして、この名前が与えられているのを見た事ある気がするけど、真島作品ではこれまでなかったですね。

絶妙に良いところから持ってきたネーミングセンス。

これも死ぬほど好きです。

洒落てて、かっこいい。

技としても、アビゲイルの炎の剣が普段以上にその炎を大きくし力を強めたのがかっこよかったです。

あれだ、BLEACHの月牙を刀に纏った状態で戦う光景の魅力に似てる。

何か大きな力を纏って、剣を振るうってかっこいい。


ウロボリアの戦い方

ウロボロスを破壊されたウロボリアは、次は自分自身が直接アビゲイルと戦います。

次々と繰り出す技名のセンスが良い。

「アイスエッジ」だったり「アイスシールド」という分かりやすいネーミング。

自分的に真島作品で最も美しいネーミングの流儀がありまして、それは中学生が分かるか分からないかの語源にすることなんです。

ある程度、これはこういうものだからこういう名前にしたんだな〜と分かるのも楽しいし、全然聞いた事もないところから名前を選出してくるセンスにも惹かれる。

分かるところもあれば、分からないところもある…ぐらいの感覚が、真島作品においては1番良いなと思ってます。

ウロボリアの繰り出した「アイスエッジ」や「アイスシールド」に関しては、分かりやすい方ですね。

「氷の刃」と「氷の盾」。

後者に関しては、それこそ真島先生の過去作『FAIRYTAIL』に「アイスメイク"盾(シールド)"」という技がありますし。

こういうところでも真島先生感覚を尊重されてるのが伝わってきます。

この技自体は、原作ゲームでも使ってたけど、技名は設定されてなかった気がする。気付いてないところで記載されてたのかもだけど。

ゲトメアの戦いが漫画で見れて、技のネーミングまで真島作品らしくて、真島作品の戦いが始まったなって実感の湧くものでした。

真島作品バトル、超楽しい。


遊び方を変える

先程、破壊したと思っていたウロボロスはここに来て復活します。

力は互角、このままでは埒が明かないと思ったのか、少し「遊び方」を変えてウロボリアが挑んできました。

それは、ウロボロスを使って、手負いのアゼルから始末するというもの。

アビゲイルは、エストレアの七星騎士団として仲間をみすみす殺さないだろうと考えて、あんな行動に出たんでしょうね。

仲間を守ろうとして動いたら、必ずそこに「隙」が生まれる。

そこを狙えば、勝機があるだろうと考えた。

狡猾で残忍。

でもこれぞ悪役らしいです。

悪役は、己の目的の為に手段を選ばない狡賢さと、瞬時に判断ができるクレバーさがあってほしいです。

こういう自分の利益の為に、どんな行動だってできるのは悪役として好感が持てます。

迷いなく最善手を選べる判断力の高さがかっこいい。

ある種悪役としての理想的な姿だ。

「戦場でのルールを教えてさしあげましょう」と言うウロボリアの姿も、どれだけの「戦場」に足を踏み入れた経験があるのかが想像できてかっこいい台詞。

そのルールとは「弱者は切り捨てる事です」というものだったのですが、こういう「戦場のルール」って何度も「戦場」を経験しないと分からないものだと思います。

悪役だから悪事でその戦場に自分から訪れたのかもしれないけど、その戦場でシビアな現実と向き合った過去もあるのかなーと想像してしまいました。

ウロボリア、キャラとしては飄々としていて、ゆるいテンションですが、その裏に重く深いものを持ってると、バックボーンが気になってきますね。

是非ともその「戦場のルール」を知った経緯を教えてほしいところ。


力を貸す鴉天狗

当然抵抗しようとするアゼルですが、体が部分的に凍りついて身動きが取れません。

このままでは、剣を振るう事ができない。

そこで、助太刀に出てくれたのがエマでした。

そうだとしても「無駄です お嬢さん程度の力では私の魔力は打ち消せない」と言うウロボリアですが、その時力を貸してくれた鴉天狗がかっこよかったなー!

前回、真の姿を取り戻して、エマの風を後ろから強化する鴉天狗。

あの天狗の格好が様になっててかっこいいー!

本当に神の使いが人間に力を貸してくれたみたいな神々しい光景に思えます。

錫杖(天狗が持ってる棒状のもの)を使って風を起こす鴉天狗に惚れそうだった。

確かに前回、ラミアクイーンを攻撃したのも「風」だったけど、この為だったんですねー。

本来であれば、強化されなかったエマをパワーアップさせる為の舞台装置の意味も担っていたのか。

点と点が繋がって、凄くしっくりきました。

エマと鴉天狗の合体技「"月の息吹(ムーンブレス)"!!」かっこいい!

確かにこれまでエマがこんなに強い風の矢を放った事はなかったね!

ボアクリフ戦だとあくまで矢の範疇を超えない低い威力の攻撃になっていたと思う。

矢にちょっと風の効果が付与されてるだけだったかな?

良くも悪くも、あくまで「矢」のレベルから超えない攻撃だったと思います。

しかし、今回の「"月の息吹"」は、まるで『FAIRYTAIL』の天竜の咆哮。

竜巻を起こしています。

こんなの「矢」の攻撃じゃない。

完全に風のキャノンを放ってる。

それくらいインパクトのある攻撃。

見てて、めっちゃ爽快でした。


炎龍

一度、ウロボリアにのされたアビゲイルも「"炎龍"」って技がかっこいいじゃないですかーー!!

龍を模した炎が襲いかかる攻撃。

視覚的にかっこ良すぎる…!

炎に龍って…!最高か!

龍の形してるから何なの?みたいなところもありますけど、視覚的にかっこいいは、イコール「強い」なんですよねー!

そりゃ龍の形した炎だったら、強くないわけがない!

そういうの、作者さんは分かり手のようなので、心の中で深い握手を交わしました。

「龍」の形をしているという事は、おそらくこの炎には半分自分で襲いかかる「意識」みたいなものがあるんでしょうかね。

漫画『金色のガッシュ!!』でいうバオウ・ザケルガみたいな。

ある意味追尾型。

巨大な炎が的確に相手を襲う。

うん、強い。

改めて技の性質を想像してみても、やっぱり強いです。

炎の龍とか、好きだわ。

七星騎士団のアビゲイルが使うっていうのが最高だった。

数人しかいない特別な強者が使うからこそ、似合ってる。

アビゲイルに相応しいと思える必殺技だった。

ウロボリアは慌てて「アイスシールド」という技で防御をするも、炎は氷を貫き奥の壁を貫いてウロボリアにヒット。

簡単に防がれず、ちゃんと当たってて良かった!

炎龍推しは、歓喜です。

しっかりこの技の強さが証明された。


彼らは希望!!

技を直撃したアビゲイルの姿もかっこいいです。

剣を突き出し「私の国のナイトウォーカーをなめないで 彼らは希望!!その光を決して消せやしない!!」と言います。

ぐうかっこいい。

先輩ナイトウォーカーとして後輩を守る姿。

それもアゼル達を「守るべき弱者」として扱っているわけではありません。

いつかこの国を背負って戦う「希望」の一つになると心から信じてる。

最高の上司じゃないですか。

後輩を一つの可能性として信じていて、託す気概がある。

今この瞬間は最大限守ってあげて、次に託そうとしている。

自分だけじゃなく、この先出てくる未来のナイトウォーカーのその先まで見据えてるのが格高すぎます。

なかなかこう言える人もいないと思う。

今回の戦いで、本当の意味でアビゲイルが尊敬できるようになりました。

原作ゲームやった時からアビゲイル推しなんだけど、今回でよりその感情が強まりました。


死のワルツ

一進一退のギリギリの戦いに高揚するウロボリア。

戦いを「踊り」と称するウロボリアは「さあもっと踊り狂いましょう」と「本気」を出します。

「死のワルツを」と言ってウロボリアの足元に出てきた黒い沼のようなものは、必殺技だ!

名称は知らないけど、これには原作ゲームで苦しめられた!(←まだハードモードがクリアできてないやつ。バランス調整が入ったみたいですが)

黒い沼が出てきたと思ったら、全方向にとんでもない攻撃を仕掛ける技なんですよね。

これマジで回避するの難しかった。

原作ゲームをやってる身としては、これが出てきた時の絶望感半端なかったです。

あ、終わった…と思っちゃいました。

確か原作ゲームだと1章ボスはナイトメアのウロボロスで、5章のボスでウロボリア本体を相手するんですよね。

まだ1章だからウロボロスだけなら対処できたものの、もし1章時点でウロボリアと相対してたら詰んでたと思う。

その実感が湧く展開でした。

その技を繰り出した時のウロボリアの発言も意味深。

「生命が光とするならその光が生まれたのは闇の世界 闇の力こそこの世界の真髄です」と言っていました。

この「闇」というのは、ナイトメアを生み出す「夜の闇」の事を言ってるんじゃないかなーと思いました。

「光」と「闇」って、バトル漫画でありがちなシンボルですけど、ゲトメアで考えると1番「夜の闇」がしっくりくるかなーという気がします。

「夜の闇」と「陽の光」。

とすると「闇」は「レムリアス」で「光」は「ウィスタリア」に感じました。

この自分のイメージを当てはめるなら、ウロボリアは「レムリアス」と「ナイトメア」を信奉してるんだろうか。

何となくウロボリアの思想が秘められていそうな発言。


エスティオ、現る

その攻撃は、発動する前に防がれ不発。

「何…この魔力…!?今までに感じた事がない程…」とアビゲイルですら戦慄する魔力に横槍を入れたのは、何と七星騎士団団長のエスティオでした。

大きな衝撃でウロボリアの攻撃をかき消したエスティオは、仰々しい剣を持って現れた。

エスティオ登場の絵が、かっこいいです。

ボロボロの副団長を助けるように目の前に現れた頼もしさ。

かっこいいぞ、エスティオ。

ゴツい甲冑をその身に纏って、ウロボリアを睨みつける鋭い視線が突き刺さる。

良くも悪くも冗談が通じないエスティオだからこその気魄がある。

本物の殺気を感じますね。

「脅し」ではなく「忠告」として言ってるみたいな、そんな感覚です。

「七星騎士団2人が相手ではさすがに分が悪い」というウロボリアの判断は、合理的。

自分で言ってるように、流石にあのまま戦い続けても「負け」しかなかったでしょうね。

エストレアの七星騎士団とムーンガルドの五聖天は、基本的には力は拮抗してると思いますし。

エスティオ側も、確かにここでウロボリアを討てば得られるものも大きかったかもしれないけど、エストレアとしては「戦争」はできれば回避したいって意向もあるんでしょうね。

ムーンガルドは、取扱説明書によると「エストレアを責め滅ぼそうと画策している」らしいんですけど、今現在直接的な戦いになっていないのは、エストレアが「平和」を望んでいるからではないかと思うんです。

できれば戦争を回避したいと考えている。

今回、アビゲイルが剣を向けたのは止むを得ずですが、もし2人の七星騎士団を目の前にして引いてくれるなら「今はそれで良い」と考えるのがエスティオの判断なのではないかと思います。

お互いの都合が重なった自然な着地に思えたな。

納得できる戦闘の中断だった。