最悪の富士登山と幽霊 | カズのヨット世界一周航海&人生日記

カズのヨット世界一周航海&人生日記

2014年3月にスタートしたヨット世界一周航海は出航前にアクシデント続出。果たして、アメリカ・フロリダを出航して日本に帰還できるのか。挫折するのか。1年掛かるのか、2年掛かるのか。

10月7日富士山山頂 霧雨(雲の中) 風速20m~以上

昨日、10月7日月曜日 23回目の富士登山を決行しました。

最近になく厳しい富士登山になりました。つらい登山でした。

 

それでも20くらいは山頂にたどり着いていました。そのうち白人の外人が9人。ほぼ半数が白人外人だったと言う事。

また、4人は登山ガイドをしている富士山のプロでした。

話し込んだ人は富士山登頂1600回以上のプロのかた。何千回の人も多くいます。

全くの素人は恐らく今日は2人。

大体この時期に登頂はそんなに甘くない。

 

実際、甘くなかった。酷かった。

ほぼ終日雲の中。つまり霧雨のような状況。

それだけならまだましだが、風が突風状態。

8合目より上は、風速20m以上時々 突風で30mのような強風も・・・

体を持っていかれそうで、しゃがんでやり過ごす。

その風で、気温が氷点下。顔は勿論感覚無し。

手先が凍傷になりそうである。痛い。

 

今回は大阪から軽トラ出来たから、狭くて車内では全く寝れず、徹夜状態での登山。頭痛がひどく。体がだるい。

 

5合目から登頂時間、5時間もかかった。きつかった。

 

特記すべきは、下山時の奇妙な体験。

僕は霧の中、ブルドーザー道を選んで下りた。

毎回そうしている。慣れた道だった。山頂から30分か40分か下りた時に、

視界が15mくらいの中、前からブルドーザー道を歩いて登ってくる人とすれ違った。女性である。

合羽は着ていたが、軽装だった。

え、こんな時間に、こんなところで??

 

先ず不思議だったのが、ブルドーザー道を登る人。ざらざらの砂利道で登山には向かない。普通は下り専用・・・

 

実際僕の23回の登山経験でこんな9合目で付近でのブルドーザー道ですれ違ったことが無かった。そもそも、ブルドーザー道を登る人を見たことがあまりない。

登りにくいし、長い。

 

その女性は僕に聞いてきた。

 

僕はこんにちはと挨拶だけしたが、その女性は

「スミマセン、ここから御殿場口に降りれますか?」

 

その質問が不思議だった。

なぜなら、ふつうは富士宮口にしても、吉田口にしても、5合目まで車で来る。駐車場に車を止めている人がほぼ全員で、この時期タクシーで来る人を見たことが無い。

仮にタクシーで来たとして、果たして、御殿場口に降りる人がいるだろうか?

なぜなら、御殿場登山口は標高が低くて、その分距離も長い。

2時間は余分にかかる。

 

富士宮口から登頂して、下りを御殿場に降りる。

夏なら考えられるが、この時期?? この雨の中??

 

またおかしいのが、時間。すれ違ったのが昼過ぎの1時半。

山の1時半は、もう半分以上下山中か、もうほぼ山のふもとに降りてきている時間。

まして、10月ともなると、山時間で4時にはうす暗くなってくる。

4時半には真っ暗になる。

 

この女性は1時半に9合目のまだ下である。

 

聞かれたので答えた。

「山頂までどれくらいかかりますか?」

「1時間はかかりますよ」

 

1時間は健脚の場合である。

ましてブルドーザー道はそれ以上かかる可能性がある。

 

危険なのは、どう見ても、会話をしても、

山に慣れた熟練者じゃなく、素人に見えたからだ。

年齢も恐らく20代から30前後までの女性。

 

その人は始終、自信が無く、弱気で伏し目がちに話する人。

 

僕は、その時たまたま出会った人に、失礼なことも言えず、突っ込んだアドバイスも出来なかった。

安全を考えて、やめた方が良いと進めたが、

「大丈夫です。あ、いいです。いいです。」と言う。

 

何が大丈夫なのか、何がいいのか分からなかったが、

言えない事情もあるのかもしれない。。。

 

少なくても、予想だが、

この人と会った9合目から山頂まで、このブルドーザー道を登って、短めに考えても1時間かかるとして、

山頂に2時半。

すぐに下山したとして、御殿場口に明るいうちにたどり着けない時間帯だ。

 

僕は聞いた「ヘッドライトは持っていますか?」

持っていると言った。

 

「登ってこられた富士宮口に戻った方がいいですよ。」

とまでは言ったが、そんなことは、この人の判断と都合もあるから

それ以上強くは言えない。

 

伏し目がちの目で、遠慮がちに話すこの女性は、

「スミマセン。大丈夫です。」

 

と言って、登っていった。

 

その後、ずっと僕の頭からこのことが離れない。

この女性は大丈夫であろうか?

 

あの道はあの時点で一本道で、山頂まで選択肢はない。下山すれば別だが・・・

 

あの強風で、あの雨、あの寒さ。

 

それだけでも過酷な状況で、あの雰囲気の女性が

登頂し、下山して御殿場口には行けない。

寒い霧の中、初めて通る山道を迷うことなく歩けるはずが無い・・・

 

このことが現実なら、遭難事故になるに違いない。

 

徐々に、あの出会いはフェークではないか??

あの女性はゴーストではなかったのか??

 

そう思えてきた。

もしそうなら、すべてがうまく行き、納得できる。(笑)

 

あれは僕へのメッセージ。

この状況で、ブルドーザー道を間違えたら、御殿場口の方に間違って降りてしまうよ。。。っていう、警告。。。

 

実際、僕はすぐにブルドーザー道を止めて、通常の登山道に戻った。

 

山は危険である。

何でもないことが、大きなリスクに変わり、死亡事故につながることもある。。。

 

注意しなさい。

山をなめるな。

 

そう言われているようで・・・

富士宮口山頂