奈良市の観光案内所が市からの人件費削減で不親切な観光案内所になってしまいました!


奈良市の玄関口、JR奈良駅「市総合観光案内所」の観光案内業務を新年度の1日からタブレットで検索するシステムに変更しました。これは市長の肝入り政策であるDX化の推進により、案内所窓口には職員を配置しないというものであります。しかし初日から「窓口に人がいない」、「せっかく観光に来たのに不親切」と来館者から苦情が寄せられる事態に陥っています。


【奈良市観光案内所運営】

JR奈良駅、近鉄奈良駅、観光センターでの観光案内業務は、市からの業務委託を受け奈良市観光協会によって運営されています。

資料1: 令和6年度歳出予算説明調書 865ページ


観光案内所運営管理経費は、令和4年度が101,792千円、令和5年度が95,755千円、令和6年度は79,451千円と削減傾向にあります。特に今年度は前年から約15,000千円も削減されており根本的な運営見直しが市観光協会に求められていました。


【現在の観光案内所運営】

管理経費の削減理由はDX化であり、経費削減を受け市観光協会は派遣職員や契約職員の一部を昨年度末で契約終了しています。新年度の案内所業務は奈良市で導入した公式観光案内アプリを活用しタブレットで行うことを奈良市が決め、それを市観光協会が受け入れたものです。


画像1: パソコンと書類棚には白い布がかけられました


画像2: 奈良市公式観光案内アプリ


カウンター内には職員を配置せず、観光案内の問い合わせはカウンターに設置したタブレットを利用し自分で調べてもらう...これが市長が進めるDX化です。


【DX化はほど遠く】

正面カウンターの職員配置を辞めたのですが、カウンター左側に外国人用窓口は残しているので、そこにおられる職員さんに苦情が殺到してしまいました。しかしこの外国人対応窓口で業務される方々は職員さんではなくボランティアのSGGクラブの方々です。


画像3: 正面カウンター左側の外国人用窓口の様子


資料2: 歳出予算説明調書 862ページ


本来、外国人のお客様を案内するボランティアの方々が、通常の窓口業務に追われる事態に陥っています。さらには苦情の受け皿になっているとも聞きます。また、手荷物預かりなどの施設サービスは継続中なので、職員さんは正面入口入って左側の手荷

物預かりカウンターで業務されており、観光案内で個別対応が必要な場合は、手荷物預かりカウンターで業務する職員さんがカウンターまでかけつけて

対応されています。


画像4: タブレット操作がうまくできず、戸惑われる観光客が多くおられます


【現場の声】

問題発覚後、何度か現場を訪れ現状確認と担当課や市観光協会に聞き取り調査を行いました。

①現在は案内所スタッフがカウンター前に立ち、タブレット操作サポートと案内をしているが、人員削減により元々ひとり体制なので指示通り対応可能なのは午後の2時間程度

② 手荷物預かりで一番混雑する午前中は手荷物預かりに人が溢れるので他の対応は難しく、特にインバウンドの手荷物対応だけで手一杯な状態が続く

③ カウンター前に立ちタブレット操作サポート業務を経験されたスタッフさんによると、機械(アプリ)操作の問い合わせはほぼないうえに、手元に観光に関する資料もなく、パソコンもないことからカウンター前での対応は自身の知識のみの頼ることになり業務継続は厳しい状態

④ JR奈良駅は奈良の玄関口であることで、市外の観光の問い合わせも多い。特に「法隆寺、飛鳥、吉野、洞川などの情報」や、奈良の郷土料理や奈良の地酒の美味しいお店など、来訪者が求められる飲食店のお問い合わせが多いが、奈良市公式アプリは奈良市内の観光情報しか案内出来ず、結局口頭での問い合わせになる


画像5: 奈良市外の観光案内ができないアプリ


【改善に向けた対策】

浮き彫りとなった課題を受け担当課は、アルバイト雇用のスタッフを急遽配置することを検討していますが、根本的な体制見直しの為の予算要求が通るかどうかは未定と聞いています。


資料3: 4月4日奈良新聞


私は昨年11月開催の観光文教委員会で、市が進める極端なDX化を問題視し、不親切な対応になることの懸念を指摘していたのですが、現状となってしまいました...

すべては結果を急ぐ市長のDX化に問題があると思われますが、奈良市の観光政策をこのままにしておくことはできないので、あらためて市に改善を求めて行きたいと思います!