奈良市議会3月定例会は本会議質疑を終え、先週から各常任委員会での分科会質疑が行われています。私は6日の一般質問で、観光政策についてと、議案第33号奈良市水道事業給水条例の一部改正についてを質疑しました。※時間の関係で通告していた高齢者福祉政策については分科会で同僚議員に委ねました。

※一般質問の発言通告書


観光政策についての質疑では、地域づくりと観光政策の観点から、観光戦略課から予算提案されている「宿泊税」導入の是非を検討するための事務経費30万円について鈴木副市長に質疑しました。


※議会事務局のホームページに質疑の様子がUPされていますので、ご確認いただければと思います。


⒈ 宿泊税

宿泊税は、各自治体が独自に実施している地方税で、実施している自治体の地域にある宿泊施設に宿泊し、各自治体の定める条件に該当する場合に課税されます。導入されている自治体は東京都や大阪府また京都市や金沢市などで、大都市や温泉地などです。宿泊税は目的税税収は、地域の魅力を高める観光政策や、観光振興を図る施策に要する費用に充てられます。またオーバーツーリズムによる観光公害対策などの財源としてもあてることができます。


⒉ 一度見送った宿泊税導入

奈良市も以前に宿泊税導入検討し、令和元年7月〜10月に検討懇話会が計4回開催されました。

※令和元年8月24日 読売新聞


市は翌令和2年に1月末に導入見送りを決め会見で表明しましたが、この時の理由は新型コロナウイルス感染拡大によるものとの理由も付け加えていました。突然の導入見送り決定から、なんの調査も行わず、突如令和6年度予算に宿泊税導入検討事務経費30万円が提案されました。一般質問では、①なぜこのタイミングで導入検討するのか理由を問う ②令和元年に開催した宿泊税検討懇話会では関係団体からかなり厳しい意見が出されていたがその総括を問う ③今回予算提案するにあたって関係機関への案内及びどのような意見が出されたかを問う

以上の三問を問いました。翌日の奈良新聞に質疑に関する記事が掲載されたことで、肯定・否定の両方の意見でが私のところに届いています。


※令和6年3月7日 奈良新聞


⒊ 奈良の観光事情

質疑における意見では、「コロナ禍も落ち着き観光客も戻り街は賑わってはいるが、奈良においては日帰り観光がほとんどであることの問題は解決していない。宿泊税導入検討は時期尚早!」このようにのべています。今、奈良市がすべきことは宿泊税の導入ではなく、観光業や宿泊業の関係団体と一緒になって、観光客の滞在時間増やし宿泊客を増やすための政策を考え魅力ある地域を創っていくことだと思います。安易に増税を考えた時点で奈良市がいかに停滞しているかが露呈してしまっています。さらに今回の突然の宿泊税導入検討予算の提案はトップダウンが疑われ、奈良市の意思決定フローにも疑問が深まります。


⒋ 政策としての宿泊税

先にものべましたが、すでに宿泊税を導入している自治体は大都市や温泉地などで、税収規模は10億を超えます。しかし奈良市は令和元年度に数度にわたり開催した懇話会で、宿泊税税収額を2億〜3憶程度見込み、そのうちシステム改修などの徴税に伴う費用が年間40,000,000円になるとの試算を説明しています。多くても260,000,000円。少ない場合は160,000,000円の税収にしかなりません。しかも目的税です。宿泊税を導入しようと考える市の政策は、日帰り客が多く宿泊客が1割程度のとどまる奈良市の実情に見合った政策ではないと断言しておきます。それならば、毎年5億程度の赤字が続く、ふるさと納税で、観光業界や関係団体と一緒になって知恵を絞って魅力ある返礼品開発して、奈良市に2億円のふるさと納税をしていただけるよう考える方が、効果的かつ奈良市の実情に見合った政策であると思います。

18日から19日に開催される予算決算委員会観光文教分科会質疑では、これらについて問い、トップダウンにより偏った奈良市の政策推進をただしてまいります!