今回は奈良市の新年度(令和6年度)予算における公共交通問題について、2月11日に投稿した奈良市の福祉政策における交通問題を考え、令和6年度予算の問題点を指摘したいと思います。

21日に3月定例会に提出予定の新年度予算の議案内示がありました。翌22日から28日の四日間は分科会別予算説明会が開催されており、26日には厚生消防委員会で、ななまるカード事業について長寿福祉課からの説明もありました。

【経費折半と懸念事項】

平成27年1月発行分から「老春手帳」が「ななまるカード」にかわり、必要経費は奈良市と奈良交通の折半で負担していたのですが、令和4年度から負担割合が変更され、市が55%、奈良交通が45%となっています。以降、令和4年、令和5年と「市55%、奈良交通45%」の負担割合で経費負担しています。前回(21日)に同問題を取り上げ、懸念事項として奈良交通が今年2月1日から運賃を値上げしたことについてのべましたが、予算説明調書に記載されている、70歳以上人口とななまるカード所有者数の推移変化は少ないので、単純に奈良市の負担分が増していると推察されます。新年度予算の説明を受け懸念していたことが現実味をおびてきてしまいました...

26日の説明会で長寿福祉課からは「ななまるカードのバス優待乗車委託について、前年より増額しています」このような説明もありました。※厚生消防委員会の出席議員よりヒアリング実施


【令和6年度予算説明調書】

※説明部分をわかりやすくするため追記してあります。

バス優待乗車委託(※ななまるカード事業の奈良交通負担分)の、新年度予算は343,560千円、今年度予算の304,122千円から、4000万円弱も増額されています!約3億円の予算で推移してきた同事業の予算が、突然大幅に増額されました!


【新年度予算審査での内容確認の必要性】

ななまるカードによる市内奈良交通バス優待乗車に要する経費は奈良市と奈良交通の折半で、令和4年度に見直された「市55%、奈良交通45%」の負担割合で経費負担しています。もしかすると今年度のどこかの時点で、「今回のバス運賃の値上げ分を奈良市に負担して欲しい...」このような要望が奈良交通よりあり、市は要望された内容を新年度予算案に反映させたのか⁈ このような疑いをもってしまいます。さらに、このような要望活動に審査機関の立場からの関与は存在しないのか⁈ 厳しく調査確認を行っていきたいと思います。

※あくまでも、予算増額の経緯を推測したにすぎません。


【まとめ】

あらためてのべておきますが、同事業は優れた奈良市の福祉政策として多くの高齢者に歓迎されてきた事業であり、昭和45年に制度化を実現された、当時の鍵田忠三郎市長の功績は現在もなお語り継がれています。その後、幾度かの制度見直しはありましたが、奈良市の福祉政策として多くの方が制度利用されているということ。課題としては福祉政策として実際の利用者数が半数程度にとどまるのではなく、全体の福祉政策としてより充実した内容が求められること。これらについてあらためて私の考えを明らかにしておきます。

新年度予算で4000万円弱も増額され、運賃値上げ分を奈良市が負担するとも疑われる予算と推測もできますが、この真相究明については明日開会する3月定例会の審査の過程で確認していきます。財源の原資は税金であるということ。一事業者の都合で公費投入が増額されるようなことが仮に事実であれば、市はその理由を明確にし、説明責任をはたさなくてはなりません!