1月28日に開催された「公共交通問題シンポジウム」に弁士とパネリストとしてお招きいただき、奈良市が抱える公共交通問題についてお話しさせていただきました。

奈良市のおける公共交通問題については、令和3年8月に奈良交通より赤字路線の維持に向けた協議の申し入れがあったこに端を発します。以降、廃止もしくは減便対象となる地域では路線維持を望む要望活動や今後の交通問題を考える勉強会が開催されてきました。今回のシンポジウムは生駒市の公共交通を守る会の主催でありましたので参加者の多くが生駒市に関係する方々でしたが、生駒市も奈良市と同時期に奈良交通より赤字路線の廃止計画が伝えられており、路線維持を望む市民の声が広がっています。今回参加させていただいたことで奈良県内全体の問題であることをあらためて認識しました。


前半の沿線ごとの状況報告では、奈良交通が奈良市に協議を申し入れた15路線の内、奈良市東部地域の4路線について、地元事情と地元の声、そして奈良市が奈良交通行っている路線維持のための財政支出についてお話ししました。

令和3年から始まった今回の奈良市と奈良交通との協議ですが、令和5年度も路線は現状維持されており、令和6年度も現状維持の予定です。けっきょくは協議開始から3年間、路線廃止されることなく維持されています。

これは喜ぶべきことなのでしょうか?けっしてそうとは言えない実情が存在します。

上記添付資料確認ください。

令和5年2月に、奈良市東部地域の住民に配布された文章には、「市から個別路線への赤字補填(🟰補助)はしないものの、その他の奈良交通(株)への支援策を踏まえ…」と記載されています。報告された時期が令和5年度の予算審査前であったことから、「その他の支援策はバーター予算が疑われるが、これが公にされて大丈夫か?」と担当の交通バリアフリー推進課に確認したところ、「市長の確認を得ていますので大丈夫です」このような回答がありました。



上記添付の二枚の「令和5年度歳出予算説明調書」で確認できるのですが、環境政策課より「EVバス購入補助金6,800万円」と、交通バリアフリー推進課より「バリアフリー対応車両購入補助金6,000万円」の計12,800万円が奈良交通への支援策として予算計上されています。


赤字路線を維持するための支援策として全否定するわけではありませんが、通常であれば自治体として公共交通を守るための予算であれば、奈良交通に対し路線の赤字額の年額を明らかにさせるべきで、その赤字額に対して市が補填することが自治体の予算措置としては正しい対応と考えます。私は昨年3月定例会の予算審査の過程でこれらの問題を重くとらえ、市長に「奈良交通との協定書締結」を求めました。質疑の場で市長から、協定締結の必要性の考えと、今後、協定書を締結する考えの答弁を引き出せたことで予算案に賛成しました。今月に内示される令和6年度予算ではこの協定に基づいた赤字路線の維持支援策が予算化されているものと思われます。


シンポジウムでは、上記の内容について話しをさせていただき、最後のまとめではつぎの三点についてのべています。

 奈良市に対し奈良交通は、「赤字補填の増額がないと路線維持は難しい」このような協議が令和3年度から続けられている。しかし現時点で赤字路線の廃止は行われておらず、来年度も現状維持の方向性である。ただ、現状維持の取引条件とも疑われるような財政支援が奈良市から奈良交通に行われており、今後も同額程度の支援が行われることが予測される。 

 

②奈良市東部地域では、将来的なコミュニティバス導入も視野に入れた勉強会等が開催されているが、路線バスの継続か廃止かが確定されないことにより、地元住民としての意見集約ができない弊害も発生している。

 

③仮にコミュニティバスが導入された場合は、路線バスとどこで乗り継げるのかが解題となり、バスターミナルの整備等の必要性もある。


まもなく始まる令和6年度予算の審査の場でもしっかり確認していきます。