【フランス代表(レ・ブルー)】
先日注文した欧州サッカー批評(13)に
興味深い記事があるので、少し引用。
(「」内が引用)
「『フランスサッカーは、プラティニほどには
優れているとはいえない』とイサルテルは語る。
『彼がピッチ上で体現した美しさやエレガンスは、
彼に固有のものだ。プラティニのサッカーの
クオリティが、フランスサッカーのクオリティなのでは
ない。
プラティニの方が遥かに優れている。
そのプラティニが、フランス人であるということだ。
オランダ人のヨハン・クライフも、アルゼンチン人の
ディエゴ・マラドーナとも違う。
フランスらしいプレーはあるが、彼は唯一無二の存在だ』
フランスサッカーには2つの側面がある。
一つが華麗なテクニックに溢れたロマン主義的なサッカー。
もう一つが屈強なフィジカルと守備をベースにした現実主義
のサッカーである。
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『イダルゴは稀代のロマンティストだった』とプラティニは言う。
『彼が選んだのは自らの理想を実現できる選手たちで、必ず
しもそのポストでフランス最高であったわけではなかった』
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その美しさを体現し、最も象徴していたのがプラティニであった。
だがプラティニ自身の見方はちょっと違う。
『イダルゴは試合前のミーティングでも、具体的な指示は
ほとんど出さなかった。ポジションは決めた。後はプレーしろというわけだ』」
(P100 ~101のミシェル・プラティニ氏のロングインタビュー)
ポジションごとに役割が明確に分かれ、プラティニのような
ファンタジスタが自由に動き回れる条件があったからこそ、
華麗なパス回し(シャンパン・フットボール)が実現できたと
解釈できる。
そして興味深いのがフランスのサッカーが
「ロマン主義」と「現実主義」だという指摘。
98年ワールドカップ、00年ユーロ、06年ワールドカップ、
16年ユーロ、18年ワールドカップとフランスが活躍した
時代はどれも後者だということ。
今でもはっきりと覚えているのが、
ユーロ2016 セミファイナル ドイツ戦の試合。
グリーズマンの2点でリードしながらも、
ドイツの組織的な動きとポゼッションサッカーに
最後の最後まで圧されるフランス。
それでも持ちこたえたのは安定した守備力のおかげ。
このときのドイツのポゼッションは70%超えだったそう。
プラティニの時代だからこそ(というよりプラティニの存在)
シャンパン・フットボールができたわけで、ジダンの時代は
まさにデサイーやテュラムといったフィジカルが強い黒人系
選手の守備があってこそ勝てる試合だったと。
そしてジダンがいるレ・ブルーは華麗なパス回しなどない。
ジダンはファンタジスタでも、パス回しやドリブルよりも
ボールキープ力が特徴なのだ。
実はフランスのサッカースタイルはそういう意味で
現実主義が本来の姿だと言えるのではないかと、
この雑誌を読んで改めて思い知らされた。