死刑確定者の方は、平日はテレビを見ることができませんが、以前は、月二回


(第二・四)土曜日に拘置所で用意されたビデオを部屋で午前中のみ視聴する


ことができましたが、現在は、金曜日の夕食後から日曜日の消灯十分前までの


間イヤホンをして自由チャンネルでテレビを視聴することができるように改善


されました。


月曜日や金曜日が祝日の場合は、土・日にその日も含めて視聴できます。


また、月一回第一月曜日に死刑確定者専用のお菓子等の特別なリストから、


3,000円分まで購入できるようになりました。


私たちは購入できませんでしたので、なぜか羨ましく感じたりしました。


年末は死刑確定者を支援してくれている団体の方から、お正月用として饅頭な


どを差し入れしてくれていました。


私が知っている死刑確定の方は、とても感謝してみえました。


死刑確定者の方たちは、毎月教誨師の方から説法や、支援者からの活動によっ


て最後の日(執行の日)を迎えるまで落ち着いて反省する生活ができると思い


ました。


私が担当していました死刑確定者(五名)のみなさんは、とてもこの方がこん


な犯罪をしてしまったのか?


と信じられないほど、一般の方と同じように優しさを感じることもありまし


た。


夏場など暑い時には、私が配食する際に舎房の中からうちわを仰いで食器孔を


通じて私たちに風を送って涼しくしてくれたりする方もありました。


しかし、他のフロアーでは私たち衛生係にクレームをつけたりする者もいまし


た。


食事の際に使用する汁椀の外側が“ぬるぬる”すると言われることもありま


す。


また、食器孔から食事を入れる際に、私はポーンと置かず両手で食器を持ち音


がしないよう静かに食器を置いて配っていましたが、それでも、音がうるさい


とクレームをつける者もありました。


その様な時は、後々にトラブルになって行きますので、担当職員に報告をして


仲裁していただきます。


私たち、拘置所で懲役を送っている者は、仮釈(かりしゃく=仮釈放)がたく


さん貰えると言うことから、妬みもあったのでしょうか?


しかし、昔はたくさん貰えたようですが、現在は、仮釈は厳しくなっていま


す。


拘置所では、いろいろな方と接して来ましたが、反省されている方とそうでな


い方があるように感じました。


反省されている方に対しては、“罪を憎んで人を憎まず”と言う言葉の意味が


よく理解できました。


私自身も、そのように感じていただけるように、これからの人生を歩んでいき


たいと思います。


ここで、平成21年1月29日に私がお世話をさせていただいておりました死


刑確定者の方が死刑執行されました。


この方は、日頃から請願作業をされており、作業はきちんとしていただいてお


り、本当に人を殺めたのか?


と信じ難い方でした。


ある日、共犯者に裏切られたと言っておりました。


しかし、どんな理由があろうとも人を殺めてしまったことは事実なので、死刑


執行によりケジメをつけられました。



ここに、ご冥福をお祈りいたします。          


                              

                               

合掌