川上哲治さんの思い出 | 西陣に住んでます

川上哲治さんの思い出

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訃報が入った川上哲治さん、
長嶋選手もいない時代に野球界の恐ろしいスーパースターであったと
父から聞いていました。



私は選手時代はおろか監督時代の川上さんも知りませんが、
「巨人の星」の再放送で観た川上監督には強い思い出があります。

巨人の星の第1回目の冒頭は、当時、六大学の名選手だった
長嶋茂雄選手の巨人軍入団会見のシーンです。
次の映像の一部分を見ながらお読みいただければと思います。



3:09 長嶋選手の巨人入団会見・・・
3:19 長嶋選手の横にいるのが川上監督です。
3:23 そんな中、長嶋選手に向かって鋭い変化球を投げた少年がいました。
   ボールは長嶋選手にぶつかる寸前で鋭く曲がり、
   そのボールを捕球したのは「打撃の神様」川上哲治選手でした。
3:26 そしてこのボールを投げたのが星飛雄馬少年でした。


星飛雄馬は巨人の「幻の史上最高の三塁手」だった星一徹の息子です。
星一徹は戦争で肩を怪我しましたが、そのハンデを乗り越えるため
一塁に向かう走者にぶつかるすれすれで曲がって一塁手のミットに
おさまるという「魔送球」なる送球方法を編み出しました。
ただ、この魔送球はスポーツマンシップに反すると
川上哲治から非難された星一徹は巨人軍を去って日雇い人夫になります。
そんな中、星飛雄馬はその後父と同じポジションである三塁手として
巨人軍に入団した長嶋選手の存在が面白くなく、
長嶋選手に魔送球を投げたのでした。

星一徹は星飛雄馬に対して野球の英才教育をしました。

3:29 星飛雄馬は、野球以外には、家の壁に開いた穴にボールを投げて
   外の木に当たって戻ってくるボールを補給するという遊びしか
   許されていませんでした。
3:31 その様子を外からのぞき見していた川上哲治は、
   星飛雄馬の投げる速球にのけぞります。


ここでビデオは終わっていますが、
実は私が印象深いのはその次のシーンなんです。

私の記憶が正しければ・・・

川上哲治はこともあろうにそのとき持ってたバットをとりだして、
星飛雄馬が投げたボールを打ち返し、家の壁にあいた穴を通します。
このとき、普段よりも速いボールが戻ってきたため、
星飛雄馬はボールを捕球することができず落としてしまいます。
このミスに対して、星一徹が星飛雄馬を激怒します。
星飛雄馬が誰かが外でボールを打ち返してきたと言うと、
星一徹はさらに激怒して星飛雄馬を一喝しました。


「ばかもん!そんなことができるバッターは日本にただ一人、
 終身打率3割1分3厘、通算安打2351本の打撃の神様
 川上哲治以外いないわ!!!」


子供にそんな遊びしかさせない星一徹は野球の鬼そのものですし(恐)、
そんな難しい遊びをマスターしてしまった星飛雄馬は優秀すぎますし(凄)、
家に開いた穴から人の家の中をのぞき見した後で
黙ってそのボールをバットで打ち返してしまう川上哲治は
大人げなさすぎですし(笑)、
それを補給し損ねたを飛雄馬怒ると同時に
それをできる人間は川上哲治しかしないと言ったのは的確すぎますし(笑)
ホントにめちゃくちゃありえない状況と言えます(笑)。

ただ、このエピソードは、当時の日本人のそれぞれが
めちゃくちゃ美しいプライドを持っていたことを物語っていると同時に
川上哲治さんが当時どれだけ偉大な選手として尊敬されていたか
ということを物語っている素晴らしいシーンだと思います。

もちろん川上哲治さんは、巨人軍を9年連続日本一に導くと言う
めちゃくちゃ凄い監督でもありました。
「石橋を叩いても渡らない」というバントを多用する
地味な野球はつまらないと批判されたようですが、
今考えれば、世界を連覇した「スモールベースボール」
礎であったのではないかと思います。

「サムライジャイアンツ」にも長嶋選手(髭濃すぎです…笑)
と一緒に出てきますね。



長嶋さんとはあまりしっくりいかなかったという話もありましたが、
ちゃっかり映画でも共演しているんですね。



不世出の打撃王で名監督の
川上哲治さんのご冥福を心よりお祈りいたします。