一瞬で読める源氏物語No.28 野分 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.28 野分

源氏物語


No.28 野分(のわき) 光源氏36歳秋の物語


秋の台風の日、心配して六条院春の街の様子を見にきた夕霧は、桜のように美しい紫の上の姿を外から偶然のぞいてしまいます。そしてこの部屋に光源氏が現れると、夕霧はわざとらしく咳払いをして今来たかのように見せかけ、知らんぷりしてその場を立ち去ります。実は光源氏は、絶対に間違いが起らないよう、今まで夕霧には紫の上を一度も見せていなかったのです。翌日やや風がおさまると、光源氏は夕霧を従えて六条院の女性たちの様子を見に行きました。なお、夕霧のソワソワぶりから夕霧が紫の上を見てしまったことはもうバレバレです。秋好中宮明石の君を訪問した後、玉鬘を訪ねた二人ですが、外で控えながら中をのぞき見していた夕霧は、山吹のように美しい玉鬘と光源氏が親子とは思えない濃密なハグをかわすシーンを目撃し、ぶっとびました。最後に妹の明石の姫の様子を見に行った夕霧は、姫も他の女性に負けず劣らず藤の花にようにキレイなことに気がつくのでした。



補足:今回夕霧は、紫の上/玉鬘/明石の姫の3人を、桜/山吹/藤に例えました。きっとタイプなのでしょう。紫の上は桐壺似の藤壺似の女性です。祖父の桐壺帝も父の光源氏も夢中になった容貌をもつ女性なので、素直に考えれば、DNAを引き継ぐ夕霧が夢中になってもおかしくありません。光源氏は、このことを察知して、自分が藤壺にしたような間違いを起こさせないよう夕霧を紫の上から遠ざけておいたわけです。こんなことを考える親は普通いないでしょう(笑)。また、光源氏が夢中になった夕顔似の玉鬘に夢中になってもおかしくないのですが、この時点で夕霧は玉鬘を姉と思っているので明らかに自制しています。さらに、明石の君似の明石の姫も妹でなければ夢中になっていることでしょう。いずれにしてもやっかいな家系です(笑)。なお、六条御息所似の秋吉中宮については花に例えることはしませんでした。きっとタイプなのでしょうが、母の葵の上を呪い殺した女性に似ているのがネックなのかもしれません。


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