一瞬で読める源氏物語No.23 初音 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.23 初音

源氏物語


No.23 初音(はつね) 光源氏36歳正月の物語


六条院で迎えるはじめての正月、快晴の極楽状態の中、光源氏は、年末にプレゼントした服のチェックも兼ねて、女性たちのもとを年始まわりします。まず春の町では、紫の上と和歌を詠み交わします。明石の姫を訪ねると、長年会ってない母の明石の君からメールが届いていたので、ちゃんと返信するよう言います。次に夏の町に訪れると、花散里はちょいと老けたもののバツグンの性格の良さを見せてくれます。一方、ニューフェースの玉鬘には恋してしまいそうです。冬の町の明石の君を訪ねると、明石の姫から嬉しい返信メールがもう届いていました。光源氏は明石の君と契りを交わし、正月早々お泊りです。翌日の六条院での新年会では、噂のアイドル玉鬘の存在に若者達がそわそわします。数日後、光源氏は二条東院を訪れますが、末摘花は相変わらずの内気で、尼さん姿の空蝉とは昔話に花を咲かせます。そんな中、正月の宮廷イベントに参加した夕霧は立派な成長ぶりを見せます。



補足:この話では、明石の君と明石の姫という実の親子の間にある少々複雑な関係が垣間見られます。明石の君は六条院の冬の街に住んでいて、明石の姫は六条院の春の町に住んでいますが、この2つの町の中心間を直線で結ぶとわずか170mの距離です。この2人が実は、大堰で別れて(No.19参照)以来、なんと4年も会っていないんです。愛する明石の姫がシンデレラ・ストーリーを歩むためには、あくまでも身分の高い紫の上の娘であることが必要で、身分の低い自分の存在は悲しいかな邪魔ということになります。このため、明石の君はけっして明石の姫とは会わないわけです。そんな2人の関係を見守る光源氏は、正月早々のお泊まりでした(笑)。それにしても、早くも玉鬘の人気に火がついたようです。「父」である光源氏もまんざらではなさそうな様子です。明石の君が明石の姫と親子でも会えない中、光源氏は玉鬘と親子でも恋してしまいそうというのには笑います。


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