エーリッヒ・クライバーはカルロス・クライバーの父である。
彼は戦前のドイツでは非常に尊敬された指揮者であったという。
彼はベルリン・国立歌劇場の監督でもあったそうだが
このコンビでベルクの歌劇を始め、当時の現代音楽の初演の多くを行った。
また、ウィーン情緒をも併せ持つ指揮者であったらしい。
そのような彼の芸術指向がナチスと合致するはずもなく
彼はアルゼンチンへ逃れる。良心的逃避といっても良いであろう。
エーリッヒは大指揮者であったと文献には多くみられるが
戦後楽壇に復帰しDECCAに残された録音などきくと
きびきびと古典的ではあるが「巨匠」性は感じなかった。
ところでyoutubeにアップされているドヴォルザークの新世界は
1928年にベルリン国立歌劇場管弦楽団をしきしてのものであるが
まさに19世巨匠性、つまり後期ロマン派的巨大さをもった演奏であり
ようやく彼の巨匠性に納得したのでした