ベートーベンの大交響曲の第一弾は3番英雄であろう。20世紀の演奏スタイルとしては悠々迫らぬテンポで各楽章、特に第一楽章と終楽章で巨大に盛り上がるというようなスタイルをよしとしてきたようである。
具体的には、カイルベルト、バンベルクのような演奏である。
21世紀にはいってからはヘンゲルブロックやフィッシャーにみられるような小規模に整理したうえでポイント的に、こうもえんそうできますね、といったところを加えていくというものが主流になっているようである。
このような演奏は確かに斬新ではあるが基本的に職人的で目先を奇抜なものにおきかえていみたというような演奏ともいえるかもしれない。
現代の演奏でも、サロネンなどはテンポはきびきびしえいるが独自の構造的な空間が形成されておりしかもそれがベート^ヴェンの音楽として正統であるという意味で優れているように思われる。
また、ティーレマンは20世紀の巨匠たちの演奏に近い、悠々たるロマンティシズムを打ち出している。
この曲の音楽史的な意味あいからもティーレマンのような演奏が好ましいと私は思う。もちろんサロネンの正当なベートーベン音楽の再構成も素晴らしいが
あえてピリオド系のいわば陳腐になりかねないベートーヴェンはたまの刺激にはいいかもしれない
(カラヤンはフィナーレでしょぼしょぼしょぼと覚めた音楽にしてしまう)