思い出そう魂の記憶の奥底に眠ってしまった、はるかな太古。
その時代は、とても愛に満ちていた・・・。
長い歴史があった・・・。
人々や動物は、半霊半物質だった時もあるかもしれない。
どんなに偉大な文明も、終盤がおとずれるのはなぜなのだろう・・・?
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とても古い「ある時代」の話をしよう・・・。
あるところに、市場や路地で果物の露店を出す物売りの家の息子がいた・・。
何日も前から村はそわそわし、活気にあふれていた気がする。
それは、国中のお祭りで、大通りでパレードのようなものがあるからだった。
少年は、物売りの手伝い。頭の上にカゴをのせ、大人たちの間をまわって売り歩いていた。
雑踏の中を人にぶつからずに、身軽にかわしながら・・・。
埃っぽい道路わきに沢山の人だかりがあった。
背の高い大人たちの間から、ほんの少しだけパレードが見えた。
その時ほんの一瞬だけど、お姫様の姿が見えたんだ。
とても小さな女の子、沢山の大人の中、ものおじもせず凛としていて笑顔がとても可愛かった。
同じ人間でこんな人がいるんだ・・・。とはじめて思ったような気がする。
自分はツギハギだらけの服で泥とよごれまみれ。
急に恥ずかしく、悲しくなってしまった。9歳の頃だったと思う・・。
家に帰って親父に「どうやったらお城に入れるの?」と聞くと「おまえにゃ、縁の無いところだ!」といわれて、ぶん殴られた。
いつの時代も、子供たちは戦いごっこが好きで、僕たちもそうやって遊んだんだ。
僕はお姫様を守るために・・・と思って真剣だった。
剣は、ただの木の棒っきれだったけど・・・。
国に戦が起こると戦力を増やすことが必要になる。
時々、若者の中から人材を集める。
幼いころに見たあのお姫様に憧れていた僕は、ずっとこの機会をまっていたんだ。
久しぶりに見たお姫様は、とても美しい少女に成長していた。
ああ、やっと姿を見ることができた・・・。
だけど、17歳くらいの僕は、すばしっこいというだけで、まだ少年特有のなんだかひょろりとした頼りない姿だった・・・。
若者たちの剣の指導にあたった者は、とても厳しく、しごきを生きがいにしているような男だった。
体力のないものは残れない・・・。
へばって倒れた者には容赦ない攻撃が加えられた。地獄のような苦しみだった。
実戦同様に二手に分かれて競いあうこともあった。
練習用の(刃とぎをしていない)剣とはいえ、重くて、まともに食らうと骨もくだける。
皆が生きるのに、必死だった。
強くなることであの姫様にいつか気づいてもらえる・・・。
初めて駆り出された戦では、僕らはただの下っ端の兵隊でしかなかった。
先頭きって突っ込んでいくしかない。
親しい友も沢山死んだと思う。だけど、自分も生き残るには強くなるしかないんだ・・・。
とても嬉しいことがあったんだ。
何度目かの戦さで僕らの隊の活躍が大勝利を収めた。
謁見の広間によばれ、一人ずつ労いの言葉をいただいた。
そこには、あのお姫様もいたんだ。ドキドキして、誇らしく胸を張って立っていた。チラリとこちらを見るが、気づいてももらえていないことに、少しがっくりしたことを覚えている・・・。
それからの剣の上達は速かった!!
もともと機敏に動けたのと動体視力が良かったのかもしれない。
相手の剣筋を読むことができたので、負けることはなかった。
僕は、この城に来た時とは見違えるくらいの逞しい青年になり・・・、いつしか兵士のトップに立っていた・・・。
王様にもその力と忠誠心を認められ、宮殿の中のある程度までは、自由に出入りすることができた。
戦いの無い時は、お姫様の護衛の役目も仰せつかっていた。
幼いころに憧れたあの少女のそばにやっとくることができた・・・、騎士として。
魂が震えるくらいの感動だったんだ。
彼女のそばにいたい。ただそれだけのために、一生懸命に鍛えてきた。自分の人生のすべてをかけて・・・。
→(その2へつづく)