クリスマスイヴだった。
ぼくをサンタさんと呼ぶ少年と一緒に、
担当医のかの女と夕食をともにした。
翌朝、少年のサッカーを見にゆく。
少年たちは夢を追いかけている。
コーナキックのボールが宙に浮き、
このボールにあわせ、一瞬蹴り上げ
た。再び蒼い空にボールは舞い上
がり、ゴールに吸い込まれてゆく。
少年のこのボールが決勝点になった。
＜少年「サンタクロース」＞
そのクリスマスの夜。
少年の隣の部屋のベッドで、「少年よ神
話になれ」をかの女の横で聴きながら、
うとうとしていた。
残酷な天使のように 少年よ神話になれ
蒼い風がいま 胸のドアを叩いても
私だけをただ見つめて微笑んでるあなた
そっとふれるもの もとめることに夢中で
運命さえまだ知らない いたいけな瞳
蒼い宇宙を 走る少年よ
ベッドで、「少年よ神話になれ」を聴いて
いて、横になっていた。
クリスマスの夜は暮れ、日がすこし明けだす。
夢の中で夢枕がでてくる頃、少年が泣き叫
ぶのを暗闇から聞こえてくる。
サンタクロースは「間違っている！」と
泣き、わめいていた。少年は「裸の王様」
だ。間違ったのはぼくだった。
担当医のかの女に依頼され買ったゲームが、
間違っていた。
辛いめにあった少年、幸い求めるゲームが
あり、一緒に手をつなぎ帰る。
部屋に戻りゲームで遊んでいた少年。
隣の部屋で自信をなくしたぼくは…
ベッドの宇宙で 抱かれて少年に還る
思い出を裏切るなら
からだと心の傷を癒せ
この宇宙（そら）を抱いて輝く
少年よ、神話になれ！！
2022.12.23
2022.12.24
2022.12.25
Enjoyクリスマス「キリスト降誕」ー男と女の物語（297）