かの女はぼくの担当女医だった。

ぼくは適応障害で、いろいろな病名を併合する。

かの女から、十年ぶりの声を突然電話で聴き、

驚いてしまった。

 

<かの女とゴルフ>

電話があった数日後に指定された場所にゆき、かの女

と会った。用件は、ゴルフの誘いだった。今、妹と一緒

にゴルフ教室に通い、コースに出る機会が無いので、

一緒にという依頼だった。

<かの女とぼく>

十年ぶりに会ったふたり。

かの女は恋多き女性だ。三度目の離婚で大阪にもどって

きた。かの女は、何でも隠しだてなく誰にでも話すタイプで、

これまでの夫とのことを語り、また白・黒をはっきりさせる

性格だった。今回の離婚もそうだった。かの女の手術の日

に病室にいて欲しかったのに、親戚と一緒に家に帰ってい

ったことが離婚を決めた理由だった。ぼくは適応障害で、

すぐに女性を求めたくなる性格だった。かの女の顔に歳月

を感じた。近くに大きな池がある公園を散策したあとかの女

とホテルにゆく。どうしてぼくに電話をかけてきたか、野暮な

ことを考えず、只ご無沙汰した分を取り戻すかのように求め

合った。ずいぶん成熟していると感じた彼女。

<妹とゴルフ(「性格」>

約束の日がくる。今年一番の寒さだった。凍てつくよう

な朝、いつになく、はやくゴルフ場につく。かの女は来る

ことが出来ず、妹とぼくのふたりだけのラウンドになった。

大学生の頃の妹を知っているが、すっかり大人になり、

病院の医師として勤めていた。厳寒の下のゴルフ。真っ

白い服に、白いストッキングを身につけ、伸びた白い肢

体の彼女が眩しかった。いい当たりにナイスショットと

声をかけ合い、たまたま、アプローチでのチップインや

長い距離のパターがはいるとタッチしあった、初めて

で緊張していた彼女がリラックスしていった。途中彼

女の横顔を見、つい、その太ももに手を置くと、彼女は

その手を払うわけでもなかった。18番ホールに来る頃に

は、ぼくの腕は彼女の腰回りにきており、彼女の髪が触

れ水仙のような匂いを感じた。こうして二人は意気投合し、

18番ホールを終えた。

 

 

<19番ホール>

彼女は姉のかの女と似ており上品な雰囲気があった。

その彼女と19番ホールのホテルにゆく。シャワーを浴び

彼女がベッドの横にはいってくる。緊張した彼女のバス

タオルをはずし、ふっくらした乳房に唇をそわし、徐々に

「好きだよ」、「大丈夫」と囁き、唇と手を下へとずらしてゆ

き、白い肌の茂みの濡れた奥にそっと入ってゆく。この感

触、言葉では表現できない快さだ。それに彼女も感じている。

彼女は姉の声と似ているが、性格が違うのか、この時まる

でぼくの動きに合わせている。けなげな彼女が、こうしての

ぼりつめ、ベッドの横で眠っていた。初体験の彼女は姉か

ら、性依存症のぼくのすべてを聞いていたのだろうか。

そして、眠っている彼女の口に唇をあてると、彼女は目覚

め、再度、真っ白い彼女の肌が真っ赤に燃えていった。

今日は厳寒の初体験づくめのエンジョイゴルフだった。

 

 

庄司ゴルフクラブ(大阪府泉南郡熊取町久保2392)

 

2021.12.3

エンジョイゴルフ(松の木「謎」)ー男と女の物語(171)