コロナにかわってオミクロン株、師走
の天王寺駅付近はマスク姿の人らで賑
わう。
天王寺公園の南にある松乃木大明神にゆ
く。
天王寺公園と松乃木大明神
松乃木大明神への道は狭い路地を通り、
わかりづらかった。
ゆく道は単純でない。天王寺公園の西
側で、通天閣に通じる動物園前商店街
の南端、飛田（遊郭）新地に通じる今
池商店街より南になる。
松之木大明神（大阪府大阪市西成太子2－3）
松乃木大明神と天王寺公園
松乃木大明神は、現在の地に明治34（
1901）年に移されてくる。
飛田遊郭は、難波新地の火災の代替地と
してこの界隈に大正7（1918）年に移っ
てくる。
ところで松乃木大明神は、すでに飛田遊
郭ができる前からあった。
昭和20（1945）年の空襲罹災戦災地域図
その後昭和20（1945）年8月に大阪空
襲があった。
空襲罹災地域図によると、天王寺駅から
の支線があり、大門通駅・今池駅・飛田
駅とあり、今池駅と大門通駅のあいだ付
近にある松乃木大明神は、火災の影響を
受けはしたが全焼しなかったようだ。
松之木大明神
松之木大明神。
ここは路地の突き当りにあり狭い境内。
松之木大明神と近松門左衛門の碑
境内には、左（西側）に猫塚に並んで、
火災で焦げた近松門左衛門の石碑がある。
猫塚
猫塚は、天王寺公園からこの地に移され
た同年明治34年に遊芸関係の拠出金で、
三味線の胴に張る猫の供養の碑を建立す
る。
近松門左衛門の碑
近松門左衛門の碑は、明治36（1903）
年に天王寺公園で第5回内国勧業博覧会
があったときに室上小三郎が許可を得て
天王寺公園からこの地に移される。
松田雪重の顕徳之碑
境内右（東）に薬師如来堂があり、そ
の隣に「松田雪重の顕徳之碑」がある。
顕徳碑には、
昭和32年11月吉日 修築記念、
総本山四天王寺管長常順書
の刻印がある。
松乃木大明神
飛田新地ができたあとで、松乃木大明神
は、昭和32（1957）年に改修されてい
る。
松田雪重（初代松田組長）の顕徳之碑（1957年・昭和32年）
松田雪重と樫忠義
松田雪重は昭和44年6月3日に亡くなる。
松田雪重は松田組の初代会長で、跡を継
いだ二代目会長が、甥の樫忠義である。
大阪戦争と樫忠義
大阪で神戸の三代目山口組長・田岡一雄
と松田組の抗争事件が起こった。（昭和
50年から53年）昭和50（1975）年7月
に松田組系の組員が、トラブルがあった
山口組系の組員を豊中で3人を射殺。これ
を契機に大阪戦争がはじまった。
翌年、吉田芳弘会長（松田系大日本正義
団）が、大阪日本橋で、山口組系組員に
射殺される。
山口組と松田組の対立が深まるなか、ベ
ラミ事件が起こる。田岡組長が鳴海清（
松田系大日本正義団）に狙撃され、田岡
は一命をとりとめる。（昭和53年7月）
これに山口組傘下の山健組・宅見組は、
場所かまわず松田組組員を射殺し、報復
した。鳴海清は、六甲山中で他殺体とな
り発見、真犯人がわからないまま、時効
となる。
山口組は抗争終結を昭和53年11月に宣言
し、松田組も大阪府警に提出し、大阪戦
争は終結する。
その後、松田組は、傘下組織の離脱で、
昭和58（1983）年5月に解散する。
初代松田組長・松田雪重の兄は、1922年
8月に水平社を組織、共党に入党し192
8年に三・一五事件で
検挙され、懲役4年の実刑判決を受け出獄。
1945年8月部落解放同盟を再建。
部落解放同盟大阪府連合委員長を経て中央
副委員長を務める。
松之木神社は樫忠義（二代目松田組長）ら
によって改修される。
松之木大明神鳥居に大阪事件の松田組長・樫忠義
出口常順
「松田雪重顕徳之碑」の書は、四天王
寺管長出口常順。
出口常順（1900-1994）は愛知県知
多郡武豊町で生まれ、出口平三郎の養
子となり大阪四天王寺東光院で修行、
東京帝国大学に進学。
昭和20年に悲田院で執務。
戦後、四天王寺学園、四天王寺福祉事
業団にかかわり、四天王寺管長になる。
百一世・管長出口常順は、32年間、昭
和33（1958）年から昭和58（1983）
年まで管長として大阪大空襲で焼失し
た四天王寺を、創建当時の姿に復興させ
る。
平成6（1994）年永眠、享年95歳。
2021.12.15
大阪の遊郭（「飛田新地」）の道（「五龍神」）ー新大阪物語（006）
2021.12.16
大阪の遊郭（「飛田新地」）の道（「大門通」）ー新大阪物語（007）
2021.12.17
大阪の遊郭（「飛田新地」）の壁（「百番」）ー新大阪物語（008）
2021.12.18