江戸時代の浮世絵師の葛飾北斎。
「百日紅」を書いた杉浦日向子さんは、
このジイ(北斎)さん、大きすぎ、象を
一本背負いするような寓挙だったと、苦
笑する。
 
北斎の生涯と絵
北斎は宝暦10(1760)年、江戸の両国で
生まれる。
かれの絵をみた外国のひとは、日本とはこ
んな不思議なところかと思ったそうだ。
 
のちに北斎の奇抜な発想により、卓越した
デッサンで、絵として表現されていること
を知ることになる。
 
「神奈川沖波裏」(富嶽三十六景)
天保4(1833)年、北斎73歳のときの作品。
 
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連作「富嶽三十六景」のひとつで、国際的に
有名なかれの版画で、「地上でもっとも独創
的な画家のひとり」と、フランスの小説家ゴ
ンクール称される。
 
 
「諸国瀧廻り」
「富嶽三十六景」と同じく、北斎が73歳と
きの作品「諸国瀧廻(めぐ)り」。
     
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木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧
 
 
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下野黒髪山きりふりの瀧
 
諸国瀧廻」の瀧は、この世の瀧と思え
ない瀧ばかりである。
『木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧』は、望遠鏡での
ぞいたように、滝口が丸く、渓流が滝口に
流れ込み、底におちてゆく。そして、断崖
の上では、滝見している男らがいる。
 
『下野黒髪山きりふりの瀧』は、これも北斎
想像した瀧で、妖怪のように流れ落ちてい
る。この絵にも、瀧見する旅人がいる。
 
「龍図」と「虎図」
北斎が描いた「龍図」と「虎図」。
この二つの絵、「龍図」はフランス(ギメ
東洋美術館)に、「虎図」(雨中の虎)は
日本(太田記念美術館)に分かれてある。
 
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「虎図」(雨中の虎)
 
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「龍図」
 
「龍図」の龍は、大きな爪を広げた龍が、
真っ黒な空から下を睨みつけ、一方、「
虎図」の虎は、雨のなか、大きな口をあ
け、太い足にするどい爪をだし、空をみ
あげている。
 
北斎の「龍虎図」
ところで11年前2006年である。
「龍図」と「虎図」のふたつは、ひとつの
対幅であることがわかり、これが話題にな
った。
 
龍虎図」は、北斎90歳のときの絵であ
る。北斎は、借家が汚くなると移り、100
回ちかく転居し、年中、炬燵(こたつ)に
はいり、絵を描いて、疲れば眠り、目が覚
めば描くという暮らしぶりだった。
 
卓越した絵を描いた北斎は、
あと5年生きれば、本当の絵描きになれる
のにと、「龍虎図」を描いた年、嘉永2(
1849)年に浅草寺境内の長屋で永眠、
享年90歳。
 
参考(メモ)
杉浦日向子は、この葛飾北斎を、「百日紅
(一」)の其の五『龍』と題し漫画を描
いている。
彼女は、病気のため、46歳でなくなり
2005年7月)、その翌年、北斎の龍が、
「龍虎図」のひとつだとわかる。
 
 
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         杉浦日向子作「百日紅(さるすべり)」の『龍』     
 
 
 
9月5日