幸か不幸か、ご親族の皆様は
いままで 「 介護 」 の現実を目の当たりにされたことがなかった。
しかし、母親を思うが故に厳しい言葉を発したご親族は
けっして 「 不幸 」 でも 「 不孝 」 でもないはずである。
お母様の幸せを考え
それぞれが、それぞれの思いを交錯させ
いったい、なにが 「 正しい 」 のかを決定づけようとする
話し合いが繰り返された。
ご主人様は奥様をかばい、
そして、立場的に弱く疲れ切ったご様子の奥様は
次第にうつむき、発言する気力を失っていく。
このままでは、
いっこうに 「 必要なもの 」 と 「 大切なもの」 が見えてこない。
それまで、その話し合いを見守っていた私は
意を決して訴えた。