現在のアンプ至るまでの事の始まりは11-12年前に遡ります。
当時、誠文堂新光社の「八島誠コレクション」の写真集を見ていた時にランジバンのラインアンプを使ってのLCR-EQアンプを発見したのです。ランジバンはWESTERNELECTRICの元社員が設立した会社で協力会社でもあり、WESTERNと同等の技術力を持った製品だと言われていたのです。2つのラインアンプの間にLCR RIAA素子を挟んだものでした。
WESTERNほど高価ではなく、それに近い性能、音質が得られると考え、ネットで探し、116Bと117Aのアンプを2台づつ入手しました。
RIAA素子は当時、TANGOでフェライトコアでコイルを販売していましたが、フェライトコアに抵抗感を覚え、岡本研究所さんの門戸を開いてもらいWEのコンデンサーとコイルを単品で入手することが出来ました。これをケースに封じ込めて、600ΩのRIAA素子を製作しました。
アンプの間にあるケースが岡本研究所さんのRIAA素子です。その下の棚にあるのがアメリカ製、真空管定電圧電源で当時、3万程度で入手が出来ました。しかし、ヒーター容量が足らなかった為にスイッチング電源で補っていました。
2014年頃のシステム全体です。
アンプ部、RIAA素子部、電源部と4つのシャ―シーから出来がった大がかりなもので入れ替えなどに大変に面倒な物でした。この状態で10年近く聴いていましたがもう少しコンパクトに出来ないかと思い立ち、一個のシャーシーに組み上げました。
自分でCAD設計したシャーシーは1.6tの鉄板製、データを工場に送りレーザーで切り出し、折り曲げて貰ったオリジナルシャーシーです。外装は塗装店でハンマートーン塗装を。文字は看板屋さんでシルク印刷を。これらのコストは貧乏年金暮らしの私には厳しいものでした。しかし、製作出来ない部分なのでしょうがないと割り切って製作しました。
電源はカットコアトランスの特注ものでケースを被せてあるのでこれも結構なコストでした。真空管の両派整流でBENDEXの6754です。WESTERNの412Aにも差し替えが出来ます。筒形のOILコンで受けてWE307チョークトランスを2段でフイルターしています。画像中、仕切り板に結びつけてあるのが2段目のチョークです。ヒーターはスイッチング電源+チョークトランスで点火しています。スイッチング電源を嫌う向きもありますが私は好んで使うことが多いです。
増幅回路はECC85/6AQ8の2段負帰還無の簡単なものです。6AQ8のμが適当値なので選びました、WE396あたりでも良かったかもしれません。カップリングコンデンサーはおごってWEの板マイカにしてあります。
出力トランスはTRIADの15K:600Ωを使っています。画像両サイドがケースを新規に作り直した岡本研究所のRIAA素子になります。抵抗はDEALの金属皮膜抵抗です。
セレクターは接点抵抗の低い高信頼性の高い物、RCAジャックはスイッチクラフトを採用それぞれしています。
アンプ棚に収まった状態です、画像では見えませんが本体の奥にラダータイプの600Ωアッテネーターが接続さています。
このアッテネーター経由でラインアンプへとつながって行きます。
ツマミは国内では入手困難なシーメンスタイプのものを韓国より取り寄せて使っています。このツマミはビンテージではなく新しいものです。韓国のオーディオショップで取り扱いしてものですがこんなイニシャルコストがかかる部品をわざわざ製造販売していることに韓国は日本以上にオーディオ熱があるのだと感心させられます。
最近はこのアンプの出番が少なくなり、マランツ7回路のプリアンプに座を許しています。