前回ブログに訪問記事を書かせていただいた、一級建築士のS氏事務所を訪問してきました。氏がオーディオショップに修理に来ていたQUADⅠのパワーアンプを見て、なんと「小型で小意気」なデザインだ と惚れ込んでしまい、製作に取り組んだそうです。取り組む以上、オリジナルと同寸サイズ、レイアウトで作って雰囲気を近づけたいと考えたそうです。
シャーシーサイズはW241×D172×H62とオリジナルと同サイズになっています。出力管はKT66ではなくバルボ社のEL5/4689です。この球は6L6に近い特性と、プレートがメッシュであること、何より赤のカラーリングが採用を決定づけたとのことです。
前段は同じ赤色コートのフィリプス社のEF37Aで、ST管スタイルにこだわったそうです。その為、この赤がアンプのシンボルになっています。整流管はムラード社GZ32の組み合わせになっています。
注意深く見ていくと、シャーシーの角が丸くなっているのに気が付きます。オリジナルに忠実に従って作られています、「細かい」気遣い!話を聞くと、単純に折り曲げて作ることが出来ない為、かなり製作コストが増したとのことです。
部品のトランスは市販品ではなくオークションで見つけて準備してきたもので、古いドイツ製のアンプから取り出した品だそうです。出力トランスにはカソード巻き線がないため、この部分は我慢したそうです。
電源トランスに丁度良いヒーター巻き線がなかった為、トロイダルトランスが使われています。チョークトランスは30Hのシーメンス社製。中国製の安物を使うと抜けなくなるなどトラブルがあると噂されているので古いドイツ製を探して使いるそうです。カップリングはロシア製で音質が決め手だったそうです。
狭いシャーシーで配線には苦労したそうで、配線順番、組み立て順番を考えるのが大変だったようです。防磁カバーの無い出力、電源トランスがこのキュートなビンテージアンプのテイスト、ルックスの「立役者」なっていると思います。
このように、市販のシャーシーに組み上げるのではなく細かく拘って、オリジナルシャーシーにすることで、現代アンプにはない趣を感じることが出来るのではないかと思います。
この図面の回路にするまで紆余曲折があったそうです。はじめは電源リップルフィルター電解コンデンサーを大きくしていたこと、(最近は高圧小容量ブロックコンは入手困難)、EL5を三結したことなど満足できる音質ではなかったことで、カソード巻き線は無いことは抜きにして、回路をオリジナルに極力近づける努力したことでやっと満足する音に近づけることが出来たとのことです。
S氏の設置状況です、JBLのSPにセッティングされていました。
今回お願いをして貸出をしていただきました、私のシステムにQC-Ⅱプリアンプの組み合わせで聴いてみました。一聴して元気な明るい音に感じました。私は現在、PX4シングルアンプで聴いていますがこのプシュプルアンプの音は躍動的で軽やかさ感のある春景色の中で元気が走り回る情景が見えました。ハムノイズはほとんど感じられない静かなアンプでした。
メッシュプレートが見えます。
QC-ⅡのEQカーブ切り替えスイッチは経年変化で酸化膜ができてしまい、接点不良になっているものがほとんどです。
そこでS氏は画像にある、消しゴムの一種のガラス繊維出来た設計図書きの道具を使って、接点の錆取りに使っているとことです。調べてみると¥2500前後でアマゾンで売られていました。設計事務所ではならずのでのアイデアです。










